〒632-0097 奈良県天理市中町52番地
近鉄天理線二階堂駅すぐ
報酬&手続きのページ→こちら
本人確認書類について(2022/05/09作成)
非対面で本人確認してもらえますか?(2023/01/04作成)
個人番号通知カードは本人確認書類ではありません(2022/09/30作成)
避けた方が良い贈与ってあるの?(2021/10/04作成)
未成年者にも贈与できますか?(2021/06/07作成)
コンビニ発行の住民票についての注意点(2023/02/24作成)
贈与契約書作成のメリットは何ですか?(2022/09/20作成)
登記申請後に贈与を撤回する事は出来ますか?(2021/12/20作成)
贈与契約書に押印した後に解除できますか?(2021/12/21作成)
無償譲渡は贈与になります(2022/07/12作成)
贈与税がかかるので贈与を取り消したい場合(2022/05/18作成)
特別受益にご用心(2021/10/21作成)
特別受益の持戻しを免除した方が良い?(2021/10/25作成)
未成年者が単独で贈与できますか(2021/08/06作成)
直系尊属から子や孫に贈与する場合の特例(2021/06/18作成)
贈与税の申告時期にご注意ください(2021/06/01更新)
固定資産課税明細書を利用するのは危険です(2021/07/20作成)
路線価図の公表時期は?(2021/06/01更新)
贈与を受けたら必ず名義変更をしましょう(2021/05/10更新)
贈与をする前に税金を確認しましょう(2021/05/10更新)
基礎控除額以下の贈与を受けても贈与税が課税される場合(2021/10/12作成)
土地を贈与した場合の不動産取得税の税額(2021/08/26作成)
法務局の登記手続案内をご利用される場合は注意が必要です(2021/05/10更新)
土地の一部を贈与する場合(2021/05/10更新)
地目が現状と登記上の地目と異なる土地を贈与する場合(2021/05/18更新)
住所(氏名)を変更した時は登記を忘れずにしましょう!(2021/05/12更新)
確定日付を活用しよう(2021/05/27作成)
居住用不動産等を配偶者に贈与をする場合の特例(2021/06/03作成)
配偶者間で居住用不動産を贈与するメリット(2021/06/03作成)
配偶者控除の申告前に贈与者が死亡した場合(2021/06/27作成)
贈与から3年以内に贈与者が死亡した場合(2021/06/03作成)
相続時精算課税制度のメリット①親の認知症対策(2021/06/03作成)
相続時精算課税制度のメリット②相続放棄できる(2021/06/03作成)
養子と相続時精算課税(2021/09/17作成)
成年後見制度を利用して贈与できますか?(2021/09/07作成)
贈与登記の依頼される場合、贈与者様と受贈者様の本人及び意思確認させていただきますが、
なるべく顔写真付きの公的証明書(有効期限内)をご持参ください。顔写真付きの公的証明
書は以下の通りとなります。
〇マイナンバーカー(有効期限内の顔写真付住基カード含む)
〇在留カード
〇特別永住者証明書
〇パスポート
〇運転免許証
〇運転経歴証明書
→但し、平成24年4月1日以降に発行されたものに限ります。
なお、贈与者の方が権利証を紛失されている場合、上記の書類をご持参いただけると
司法書士による本人確認情報制度を速やかに利用できるメリットもあります。
贈与登記の依頼される場合、贈与者様と受贈者様には原則として対面での本人及び意思確認を行って
います。従って、非対面での本人確認を行ってはおりません。しかし、お客様の様々な事情を勘案し
て当事務所の判断で、例外的に非対面での本人及び意思確認を実施することがございます。非対面で
行う場合、最低でも以下の条件を満たしている必要があります。
①郵便局に郵便物を速やかに取りに行くことが可能なこと
②運転免許証等の公的身分証明書(顔写真付)記載の住所に郵便物が届くこと
非対面での本人及び意思確認等の手続き詳細については、直接当事務所へお問い合わせください。なお、上記条件を満たしていても、当事務所の判断で原則通り対面による本人確認等を行う場合がありますので、ご了承ください。
贈与にかかわらず、すべての業務において本人確認をさせていただいておりますが。
本人確認書類として「個人番号通知カード」をご提出される方がおられます。
「個人番号通知カード」は個人番号を確認するために用いられる書類であり、本人確認
書類ではありません。従って、「個人番号通知カード」を用いて本人確認をするこ
とは出来ません。なお、これは当事務所の独自の方針ではなく、国等の行政機関が本人
確認として使用しないように求めています。現に不動産登記法上も「司法書士による本
人確認制度」で本人確認に使用できる書類の中に、「個人番号通知カード」は含まれて
いません。なお顔写真付きのマイナンバーカードは本人確認書類として問題なく使用で
きますので、ご安心ください。
なお、本人確認書類についてご不明な点があれば、お気軽にお問い合わせください。
(注)個人番号通知カードとマイナンバーカードの違いは、顔写真があるのがマイナンバー
カード、無いのが個人番号通知カードとなっています。
通常、贈与税の非課税枠は受贈者一人あたり年間110万円です。従って、例えば不動産
A→Bと贈与登記するより、A→B、Cと贈与登記をした方が贈与税の負担が少なくなります。
そこで「A(名義人)→妻B、子C、D、E」とする所有権移転登記又は所有権一部移転登記
がされている不動産をときどきみかけます。
しかしながら、このような登記は以下の理由で、非常にまずいと言わざるを得ません。
①共有者間で意思統一が困難になるリスクが高くなる
共有不動産の場合、売却や担保提供するためには、共有者全員の同意が必要となってき
ます。従って共有者の一人でも反対すれば売却等が出来なくなってしまいます。
また、贈与当時は仲良くても、時の経過とともに共有者間の仲が悪くなることも充分
考えられます。例えば上記の例で、CとDが口も聞かないほどの仲になってしまった場
合、当然ですが売却等の話を進めることは困難でしょう。
②将来の権利関係が複雑になるリスクがある。
上記の例でCが死亡したとしましょう。この時、Cに子供F・Gがいると、当然Cの持分
はF及びGが相続し、当初の他の共有者B、D、Eは相続できません。この場合C持分を
B、D、Eに移転するためには、
①CからF及びG(又は遺産分割協議でF又はGの単有)とする相続登記
②F及びGから贈与又は売買とする所有権移転登記
をしなければならず、複雑な手続きが必要となります。
また、このような複雑な手続きをするのが面倒だと放置することは、さらなる悪化を
招きます。上記の状態で放置すると、時の経過ともに、Fが死亡し、相続人H、Iが承
継し、Gが死亡し、相続人J、Kが承継するといった具合に権利関係者がどんどん増え
ていき、権利関係者が数十人以上となり、今社会問題化しているいわゆる「所有者不
明土地」となりかねません。
このように、いくら贈与税の負担がかるくなるからといって、共有名義にする贈与登記
を行う事は、それを上回る上記のようなデメリットがありますので避けましょう。
未成年者である子又は孫等に対しても、贈与する事が出来ます。
なおこの贈与契約は、当該未成年者の親権者だけでなく、当該
未成年者本人と贈与契約を締結することが出来ます。
何故なら、民法では、未成年者は単に権利を得る法律行為は親
権者の同意なくして単独にすることができるとされ、贈与契約
は単に権利を得るだけの法律行為に該当するからです。
なお、贈与といっても、贈与する代わりに一定の負担(例えば
介護義務等)を求める負担付贈与である場合は、単に権利を
得る法律行為ではありませんので、未成年者単独で締結できま
せん。
贈与登記をする場合、贈与者の登記記録上の住所と現住所が異なる場合、住所変更登記が必要となります。この住所変更登記においては、住民票等の添付が必要となりますが、マイナンバ
ーカードを保持しているとコンビニで取得することが出来ます。しかしコンビニで取得する際には注意が必要です。一部の自治体では、コンビニで発行する住民票においては、住所の履歴が記載されない措置をとっています。住所変更登記においては、登記記録上の住所から現住所までの履歴が記載されたものが必要となり、履歴が載っていないものは使用できません。従って、コンビニで取得する場合は、必ず履歴が記載されているものが発行されるかどうか確認しましょう。
贈与契約は、履行の着手後には一方的に撤回(解除)することは出来ません。贈与における
登記申請はこの「履行の着手」に該当しますので、登記申請後は一方的に撤回(解除)する
ことは出来ません。また贈与登記は贈与者と受贈者による共同申請となっていますので、ど
ちらか一方の同意なく登記の取下げすることも出来ません
従って、贈与登記を依頼される場合は、申請後に贈与を迷われることがないよう気持ちを固
めてからご依頼ください
当事者間で合意しているのに、わざわざ贈与契約書を作成する必要性が分からない
とおっしゃられる方がおられます。
贈与契約書の作成には、当事者の一方からの撤回が不可能となるという大きなメリ
ットがあります。従って、贈与と同時に登記をするのではなく、何らかの事情によ
って、登記が後になるということになっても、贈与契約書を作成していれば撤回さ
れる心配はありません。一方、贈与契約書を作成せずに口約束のみで行っていた
場合は、当事者の一方からの撤回が可能となり、撤回されてしまえば贈与登記を
することは不可能となってしまいます。なお口約束の贈与であっても、贈与登記
を完了した後は、当事者の一方からの撤回は出来ませんので、ご安心ください。
前回では、「履行の着手」後に当事者の一方から贈与契約を撤回(解除)する
ことは出来ないという内容を記事にしました。では贈与契約書に署名・押印した
が登記申請していない場合は撤回(解除)出来るのでしょうか?
民法上は、書面によらない贈与のみ「履行の着手」前に解除できると規定されて
います。ということは書面による贈与はたとえ「履行の着手」前であっても撤回
(解除)することが出来ないという事になります。従って、贈与契約書に署名・
押印した後は撤回(解除)することは出来ません。
贈与という言葉とよく似た言葉に「譲渡」という言葉があります。ただし、所有権
移転登記の登記原因に「譲渡」というものはありません。では不動産を譲渡する場合の
原因は何とすべきでしょうか?
この点、不動産の譲渡が無償で行われる場合は「贈与」となり、有償で行われる場合は
「売買」となります。従って、不動産を無償で譲渡する場合、贈与税等に気を付ける必
要があります。
一方、結果として無償で譲渡することになるような事例では注意が必要です。例えば
以下のような事例です。
①AがBに対して所有不動産を100万円で売却した
②BはAに対して100万円貸している
③AとBは、AのBに対する売買代金支払請求権とBのAに対する貸金返還請求権を相殺
することで合意した。
上記の場合、③の相殺で売買代金の支払いが行われないことになり、一見無償譲渡の
ように思われます。しかし、たとえ相殺によって売買代金の授受が行われなくても、①
の売買契約の効力に何ら影響を与えるものではありませんので、この場合の原因は「売
買」となります。
贈与契約を締結した登記も完了したが、想定以上の贈与税が課税されることが判明したので、
贈与契約自体を錯誤により取消したいというケースがあります。
この場合、登記手続き面においては贈与によりなされた所有権移転登記の抹消登記を申請する
ことになりますが、気を付けていただきたい点があります。
それは、必ず税務署又は税理士に事前相談することです。事前相談なしに勝手に贈与登記を抹消
しても、贈与契約は有効に成立していると見なされれば贈与税は課税され、抹消登記申請した
意味がなくなるからです。
生前贈与をするにあたって、特別受益制度に気を付けないといけません。特別
受益制度を簡潔に説明すると、遺贈や生前贈与によって、相続人の中に特別の
利益を受けた者がいる場合、他の相続人との不公平感をなくすために、具体的
相続分の算定に当たっては、当該贈与又は遺贈を受けた財産の額を控除する制
度です。具体的には以下の例を使って説明します
(例)〇被相続人Aには、相続開始時に1000万円の財産がある
〇Aの相続人は子であるB及びCのみ。
〇Bは、Aから不動産(1000万円)の生前贈与を受けている
①生前贈与が特別受益とみなされない場合の具体的相続分
B=500万円(1000万円×1/2)
C=500万円(1000万円×1/2)
②生前贈与が特別受益とみなされる場合の具体的相続分
B=0円((1000万円+1000万円)×1/2−1000万円)
C=1000万円((1000万円+1000万円)×1/2)
このように、生前贈与を受けると、相続時の具体的相続分が無い又は減少したりす
る可能性があります。
しかし、この特別受益制度は贈与者の意思表示によって除外する事も可能です。この
意思表示の方法は、法律上では口頭でも可能ですが、口頭ですと、紛争のリスクが
ありますので、実際は贈与契約書又は遺言等の書面によってなされます。
上記の記事で特別受益制度の事について、記載した際に、特別受益については贈与
者の意思表示によって除外が可能(正確には「特別受益の持戻し免除」といいます)
とも述べました。
では、常に特別受益の持戻しを免除した方が良いのでしょうか?
実は、贈与者の生前贈与の捉え方を基準に、持戻しを免除するかどうかを考えるべ
きです。例えば、
「長男には生前贈与したから、相続時には他の子供達に多く相続させたい。」
という考えならば、持戻しの免除をしなくても良いですし、逆に
「長男には生前贈与したが、相続時にも相続分が減ることなく相続させたい。」
また、贈与時に、持戻しの免除をするかどうか迷われているかどうか迷われてい
る場合には、贈与時に決める必要はありません。
特別受益の持戻しの免除は、後日遺言書でも可能だからです。
未成年者が贈与を受けることは単独で出来ると別記事で書きましたが、では反対に
未成年者が贈与する場合はどうでしょうか?この場合、未成年者は単独で贈与する
ことは出来ず、成年者に代わって親権者が贈与を行います。
未成年者が贈与するにあたって贈与の相手方が親権者であった場合は注意が必要で
す。この場合利益相反とみなされ、特別代理人の選任を家庭裁判所に申立てをし、
選任された特別代理人と親権者で契約を締結しなければなりません。
この特別代理人選任の申立てには、通常1〜2か月ほどかかり、また当該贈与が
やむをえない事情であり、未成年者の利益にもつながる場合ではないと認められ
ません。
従って、未成年者の方がまもなく成人になられ、かつ急いで贈与しなくてよい場
合は、未成年者が成人になられるのを待ってする事も検討した方が良いでしょう。
なお、2022年4月1日からは、18歳が成人年齢とされています。従って2022年4
月1日以降は、18歳に達すれば単独で贈与することが出来ます。
祖父母等の直系尊属から、子や孫への贈与した財産は、特例贈与財産とされ
一般の贈与より税率より軽減されています。まずは以下の国税庁のページを
ご覧下さい。
〇贈与税の計算と税率(国税庁のページ)→こちら
例えば600万円を贈与した場合、一般財産の場合、贈与税の税額は
600万円−110万円×30%−65万円=82万円
となります。一方特例贈与財産の場合は、
600万円−110万円×20%−30万円=68万円
となり、一般贈与財産の場合と比べて14万円安くなります。しかし、この
特例贈与財産制度については、注意点があります。
①贈与を受ける子や孫が、贈与を受ける年の1月1日時点で20歳以上であること
→令和3年に20歳になる子や孫が贈与を受ける場合、令和3年中に贈与を受け
ると、適用されず令和4年以降の贈与について適用されます。
②自己の配偶者の直系尊属から贈与を受けた場合は適用されません。
なお贈与税の具体的な相談については、最寄りの税務署又は税理士にお問い合
わせ下さい。また税理士に依頼されたい場合は、当事務所でもご紹介できます
のでお尋ねください。
贈与税は、贈与を受けた日の翌年の2月1日〜3月15日(以下「贈与税
の申告期限」)までに申告・納付をしなければなりません。贈与税の配偶
者控除や、相続時精算課税制度等の特例を使い、結果として贈与税が
課税されない場合でも、申告は贈与税の申告期限までにしないと特例が
適用されなくなります。特に1月〜3月までの間に、贈与を受けられた方
は、次の年の申告期限まで間が空くので、申告を忘れがちになりますので
ご注意ください。
なお通常の贈与における基礎控除(110万円)の範囲内で納まる贈与の
場合は、贈与税の申告の必要はありません。
贈与による所有権移転登記に、固定資産評価証明書ではなく、納税通知書に添付されている
課税明細書を利用できる自治体が増えていて、課税明細書の利用も推奨している自治体も
あります。
但し、安易に無料だからといって、固定資産課税明細書を利用するのは危険です。
実は。自治体によっては課税明細書に所有者名義の全ての不動産を記載しているのではなく
非課税不動産を記載しなかったり、又所有者単独名義の非課税不動産は掲載するが、共有名
義となっている非課税不動産は掲載しないという取扱いをしているところがあります。
そうすると、課税明細書を鵜呑みにすると、贈与者が自分名義の不動産を全て受贈者に贈与
したいと思っていても、非課税不動産を贈与し忘れしてしまうというリスクがあります。
従って、課税明細書を利用する際は、市町村に全ての不動産が掲載されているか問い合わせ
してからにしましょう。もし全ての不動産を記載していない可能性がある旨の回答を得たら
課税明細書を利用せず、評価証明書等を取得しましょう。
贈与税の財産評価において重要な指標となる路線価は、毎年
7月1日頃に、国税庁のホームページで公開されます。
従って、例えば令和3年7月1日より前に、国税庁のホーム
ページで閲覧したとしても、それは令和2年分であって、令
和3年における贈与に関する路線価ではないので注意が必要
です。最近では、路線価が前年に比べて劇的に上昇・下降する
事はないように感じられます。しかし前年と劇的に環境が変化
したケース、例えば大きい道路が開通した場合は予想よりも上
昇する可能性もあります。このような場合は、路線価が公表
されてから贈与契約を締結した方がいいかもしれません。
また路線価の見方で不明な点がありましたら、躊躇なく税務署
又は税理士に相談してください。自己判断で路線価判定を行う
ことは危険です。特に複数の路線に接している土地の贈与の場
合は要注意です。
不動産の贈与を受けた場合、贈与による名義変更もしておかずに放
置しておくことは、以下のリスクが生じます。
①贈与者が贈与後に死亡してしまう
不動産の贈与による名義変更せずに放置していると、贈与者が死亡
してしまう可能性が高くなります。死亡後に贈与登記をしようとす
ると、贈与者の相続人全員と協力を得ないと登記できません。
すんなり協力してもらえればいいのですが、相続人が非協力的であ
ったり、行方不明だったりする場合は、裁判手続きを利用しないと
いけなくなり費用も時間もかかることになります。さらに贈与が
あったことを争われている場合、贈与契約の存在を証明しなければ
なりませんが、書面等が残っていないと、裁判を起こしてもかなり
不利になる可能性が高いです。
②贈与者が認知症になってしまう
贈与者が認知症になってしまうのも、放置していることのリスクの
一つです。認知症になっている場合、手続きをしようとすると成年
後見人等の選任の申立てをしなければなりません。
また成年後見人等が選任されたとしても、必ず贈与登記ができると
は限りません。成年後見人等は贈与者の財産の減少を防ぐことを目
的として選任されていますので、当該贈与が本当にされたかどうか
の証明が求められます。従ってこの場合も①と同様、書面等がない
と不利になります。
③贈与者が贈与後に売却したり、差押を受けたりする
不動産の贈与による名義変更せずに放置していたところ、贈与者が贈
与した後に、その不動産を売却して、名義変更したり、贈与財産につ
いて差押えを受けたりする場合です。この場合、受贈者は先に対抗件
要件を具備していませんので、受贈者は買主や差押権者に、権利を主
張する事が出来ません。
(注)対抗要件の具備とは登記の事です。権利が衝突する場合は、
先に登記を備えた方を優先とされます。売却の場合は、既に
買主名義の登記となっているため、受贈者の名義にすること
はできません。また差押登記している場合は、受贈者の名義
にすることは出来ますが、差押権者が競売手続きをし、落札
されると、受贈者は所有権を失います。
贈与を原因とする名義変更をすると登記費用以外にも、贈与税(国税)と
不動産取得税(地方税)がかかります。税金がどんなに高くても贈与契約を
したいという方もおられますが、なかには贈与登記をした後に、高額な贈
与税が課税されて、慌てふためく方も珍しくありません。従って、贈与をご
検討される方は事前にどの程度課税されるのか、税務署又は税理士に確認
されることをお勧めいたします。
当事務所は税理士事務所ではございませんので、直接具体的な相談や申告
の依頼に応じることは出来ませんが、提携している税理士事務所がござい
ますので、ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
贈与税は、毎年1月1日〜12月31日までの間に、故人が財産を受け取った金額が
110万円以下なら課税されません。この110万円の事を基礎控除額といいます。
従って、例えば贈与税評価額の500万円の土地につき、持分5分の1を贈与した場
合、100万円を贈与したことになり、他に贈与をうけた財産が無ければ、基礎控除
以下となり贈与税は非課税となります。
しかし、その年に受取る財産が、110万円以下であっても、贈与税が課税される場
合があります。それが定期給付契約に基づく贈与です。定期給付契約に基づく贈与
とは、例えば、1000万円を、10年間にわたって、毎年4月1日に贈与するという契
約です。このような契約の場合、毎年贈与される金額は100万円で、本来なら基礎
控除額以下ですが、最初の年に1000万を受け取る権利の贈与があったとして贈与
税が課税されます。
これは、不動産の贈与でも、起こりえます。例えば先ほどの評価額500万円の不動
産を5年間にあたって、毎年持分5分の1ずつ贈与していくという契約を結んだ場合、
500万円の不動産を受け取る権利の贈与を受けたとみなされる恐れがあります。
また、上記の贈与税の課税は、定期給付契約といった書面がなくても、
従って、基礎控除を利用して贈与する場合は、
〇贈与日を毎年4月1日といったような同じ日にしない。
〇贈与する持分を同じにしない
等といった点に注意し、不安な場合は税理士にご相談をされることをお勧め
します。
土地を贈与した場合、法務局に納める登録免許税や贈与税の他に地方税の不動産
取得税が課税されます。
①不動産取得税の特例
課税価額の3%
→なお課税価格とは原則として市区町村に備え付けの固定資産課税台帳の
評価額のことをいいます。なお固定資産税の納税通知書に附属の課税明
細には固定資産税課税標準額と評価額が両方きさいされており、間違い
やすいのでご注意ください。
②宅地の特例
令和6年3月31日までに宅地を取得した場合、課税価格は評価額の1/2
とされています。なお現在は令和6年3月31日までとされていますが、
これまでも延長を繰り返していますので、は令和6年4月1以降も継続
される可能性は高いと思われます。
③非課税
不動産の評価額が10万円未満の場合は課税されません。
④不動産取得税の具体的な税額
(例)評価額800万円の宅地を令和3年8月1日に贈与した場合
800万×1/2×3%=12万円
贈与登記を自分でされる方の中には、法務局の登記相談を利用しよう
と思っておられ方も多いでしょう。しかし、法務局の登記相談は登記
手続き案内に変わりました。登記手続き案内は登記相談といくつか
相違点があり、登記相談のように利用するにはいくつか注意点があり
ます。まずは次のページをご覧ください。
上記のページで、注意すべき点は
①完全予約制であること
→つまり、予約無で法務局に出向かれたとしても、予約が埋まっていれば
利用できないということになります。またお仕事が休みの日に行こうとお考え
でも休みの日が予約が満杯の場合は利用できないということになります。
実際に当事務所にご依頼された方の中にも、当初はご自身でしようと思い
法務局に予約無でいかれたが、予約が埋まっていて登記手続き案内を
利用できなかったという方がおられました。
②申請書等は自宅等で自分で作成しなければならないこと
→登記手続き案内で、登記申請書を手取り足取り教えてもらいながら作成
したいと思っている方が多いでしょう。しかしながら上記のページにも記載
されているとおり、登記手続き案内では一般的な書き方にとどまり、申請書
等は自分で作成しなければなりません。
③申請書のチェックはしてもらえない
→登記手続き案内では、申請書のチェックはしてもらえず、チェックは申請を
受け付けてからということになります。従ってもし不備があれば、再度法務局
に行かなければならないということになります。
いかがでしょうか?以前の登記相談だと、担当官によっては相談にとどまらず、申請等の
チェックまで手取り足取り教えてくれたこともあるようでしたが、登記手続き案内では、申請
書の様式や一般的な説明にとどまり、申請書等の書類のチェックはされなくなっています。。
登記手続き案内に変更されてから、当事務所でも、当初、登記手続き案内を登記相談の
ように利用されて自分で贈与登記をしようと思われていた方からのご依頼が増えています。
ぜひ、自分でしようか司法書士に依頼しようか迷われている方や、登記手続き案内を利用
したが、自分でやるのは不安に思われている方は、当事務所に依頼することもご検討くだ
さい。
1筆の土地の一部を贈与する場合、贈与登記の前提として一部を元の1
筆の土地から分離させる分筆登記をする必要があります。例えば、10
0番(面積100㎡)の土地の一部10㎡を贈与する場合、100番の土地
につき分筆登記をして、100番1(面積90㎡)と100番2(面積10
㎡)と2筆の土地に分けます。そして100番2(面積10㎡)の土地に
つき贈与登記を行います。この分筆登記は国家資格である土地家屋
調査士のみ業として行えます、
案件によって異なりますが、たいていの場合 分筆登記費用が数十万円、
時には100万円を超える場合もあります。従って、土地の一部を贈与
する場合は、必ず、事前に(注)土地家屋調査士に現場を見てもらい、
見積もりしてもらいましょう。もちろん当事務所でも提携している土地
家屋調査士がおりますので、お気軽にお問い合わせください。
(注)分筆登記は、公図と現状が一致しているか、境界がはっきりしている
か等によって、費用がかわってきます。従って、見積をするためには現場を
調査する必要があります。なお当事務所提携の土地家屋調査士の場合、無料
見積もり(見積もりのための現場調査を含む)で対応させていただいており
ます。
土地の地目(種類)が現状と、登記上の地目(種類)と異なる場合があり
ます。これは、造成工事等で現状の土地の地目(種類)が変更したが、
法務局に地目変更登記を申請しなかったたために、登記上の地目(種
類)が変更前のままになっているからです。現状の地目(種類)と、登記上
の地目(種類)が異なるからといって、直ちに地目変更登記をしないと、贈
与登記ができないというわけではありません。しかし、例外的に、登記上
の地目(種類)が農地(田 畑等)で、現状の地目(種類)が農地以外の場
合は別です。この場合、法務局は、現状がどうであろうと登記上の地目(種
類)でしか判断できませんので、農地と扱い、農地の贈与登記と判断します
ので、農業委員会等発行の農地法の許可書の添付を要求してきます。
一方、農業委員会等は、現状で判断し、農地ではないと判断しますので、
許可書は発行してくれません。従って、贈与登記をするためには、登記上の
地目(種類)が農地となっているのを、現状の農地以外の地目(種類)に変
更する地目変更登記が必要になってきます。地目変更登記をすれば、法務
局も現状の地目(種類)で判断できますので農地法の許可書を添付すること
なく、贈与登記をすることが出来ます。
なお、この地目変更登記は、代理人としては土地家屋調査士だけが行える登
記となっていますが、当事務所にも提携している土地家屋調査士がおりますの
で、お気軽にお問い合わせください。
贈与による所有権移転登記を完了した後に、住所(氏名)を変更した場合
市区町村への届出をされると思います。実はこの届出だけでは、不動産
登記事項証明書の所有権登記名義人の住所(氏名)は変更されません。こ
の所有権登記名義人の住所(氏名)を変更するには、市区町村への届出
だけでなく。法務局への変更登記を申請しないと、現住所へ変更されま
せん。今までは、この変更登記申請については、いついつまでにしなけ
ればならないという期限はありませんでした。
しかし、2021年4月21日国会で、民法等の一部を改正する法律が成立
し、住所(氏名)に変更が生じた日から2年以内に、法務局へ変更登記
をしなければならず、正当な理由なく起こった場合は5万円以下の過料に
処すという規定が新設されました。さらに、施行日後の住所(氏名)変
更だけでなく、施行日前の住所(氏名)変更についても、施行日から2
年以内にしなければなりません。
本記事作成時(2021年5月12)時点では、まだ施行されていませんが、
贈与登記をした後に、住所を変更している場合は、変更登記をせずに
忘れて放置していると、将来過料に処せられる恐れがありますので、
忘れずに、変更登記をしておきましょう。
もちろん、当事務所に変更登記を依頼する事も可能ですので、お気軽に
お問い合わせください。
皆さん、確定日付制度をご存じでしょうか。確定日付制度は簡単に言うと、公的機関が「文書
が一特定の日に確かに存在していましたよ」とお墨付きを与えてくれる制度です。
手続きは簡単です。確定日付を付与してもらいたい文書(贈与契約書)を作成し、一定の公的
機関に申請すれば、文書に日付が入ったスタンプを押印してもらえば終了です。本人が行く必
要もありませんし、代理人が行く場合でも委任状は必要ありません。
また手数料も700円と、公正証書と違い低額です。しかし確定日付はあくまでも文書の存在を
立証するもので、文書の内容の真実性を立証するものではありませんので注意が必要です。
確定日付を付与できる機関としては、公証人役場が有名ですが、実は法務局でも付与してもら
うことができます。特に奈良は、公証人役場が2か所しかありませんが、法務局は5か所(20
21年5月27日現在)ありますので、利用しやすいです。
ここまでお読みいただいた方の中には、「確定日付を付与してもらうメリットは?贈与契約書
を作成しただけではだめなの?」と疑問をお持ちの方もおられるのではないでしょうか?
実は、何らかの事情で贈与から登記まで期間があく場合に確定日付が有効です。贈与契約書は
後から贈与の日付を遡って作成できるため、贈与の日より登記まで期間があいた場合、登記を
しただけでは、本当にその日に贈与があったのか、故意に当事者が遡らせたのか第三者から判
断できません。従って贈与契約書を作成しただけでは、その日付の有効性について第三者から
争われることがあります。以下の事例をご覧ください。
①Aさんは令和1年11月1日に100万円相当の甲不動産の贈与を受けたが、諸事情に
より契約書を作成したが登記をしなかった。
②Aさんは、令和2年11月1日に100万円相当の乙不動産の贈与を受け、①の甲不動産
とともに贈与登記をした(日付は甲不動産については、令和1年11月1日付、乙不動産
については令和2年11月1日付)。
この場合、Aさんの主張が認められれば甲不動産については、令和1年の基礎控除(110万円)
内、乙不動産については令和2年の基礎控除(110万円)内であるため、贈与税は課税され
ません。
しかし、万が一税務署から①及び②の贈与が令和2年にされたものと認定されてしまうと、基
礎控除(110万円)を超えるため、贈与税が課税されてしまいます。
この場合、①の時点で作成した贈与契約書に確定日付を取得しておけば、その時点で贈与契約
書が存在していたことが公的機関によって立証されますので、税務署が甲及び乙不動産の贈与
が令和2年に贈与したものと認定することは困難になります。
なお、①の時点又は令和1年中に登記をした場合は、このような問題は起こりません。①の時
点で登記をしているということは、その時点で登記に必要な贈与契約書ないし贈与の事実を記
した文書である登記原因証明情報が存在していることが明らかであり、令和1年中に贈与した
ことを争うことは困難だからです。
配偶者に対して国内の居住用不動産又は居住用不動産取得の金銭
を贈与する場合は、一定の要件を満たせば、最高2000万円までの
贈与(通常の基礎控除と合わせると2110万円)については、非課税
となります。以下に主な要件を記します
(要件)
〇婚姻期間が20年以上の夫婦であること
(注)法律上の夫婦である期間が20年以上であることを要し、内縁
期間は含みません。従って、内縁期間を含めると20年以上だが
法律上の夫婦である期間は20年満たない場合は適用されません。
〇配偶者から贈与を受けた財産が自分が住むための国内の居住用不動産
又は居住用不動産取得用の金銭であること
(注)賃貸用不動産は含まれません。また店舗兼自宅等の非居住用部分
との併用住宅である場合は、居住用部分が90パーセント以上である場合
を除いて、居住用部分にしか適用されません。
〇贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、贈与を受けた国内の居住用
不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を
受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みがあること
〇贈与を受けた年の翌年の2月1日〜3月15日までの間に、贈与税の申告
をすること
(注)同じ配偶者間では、この特例は一回しか適用ありません。
(注)この特例を利用して、国税である贈与税がかからない場合でも地方税で
ある不動産取得税はかかりますのでご注意ください。
配偶者間で居住用不動産を贈与した場合、一定の要件を満たせば通常の基礎控除
に加えて2000万円の特別控除を受けられるという特例がある事は上記で述べました。
しかし、配偶者間の居住用不動産を贈与するメリットが他にもあります。
それは、将来居住用不動産を売却した場合に表れます。通常不動産を売却した場合
次の計算式に従って算出された価格に譲渡所得税が課税されます。
売却代金−(取得費用+譲渡費用)−特別控除=課税価格
贈与を受けた不動産を売却した場合、取得費用はゼロであるため、ほぼ売却代金
全額に対して譲渡所得税が課税される可能性が高いです。しかし一定の要件を満た
した居住用不動産を売却した場合、3000万円の特別控除が適用され、3000万円
以下で売却した場合は、譲渡所得税は課税されませんし、3000万円以上で売却
した場合でも、特別控除を引いた差額部分にしか課税されません。
このように、配偶者間で居住用不動産を贈与すると一定の要件を満たせば、贈与時
の贈与税、売却時の譲渡所得税で軽減を受けることが出来るというメリットがあり
ます。なお居住用不動産の特別控除の要件については、下記に国税庁のタックス
アンサーのページを貼っておきますのでご参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
贈与者が配偶者に居住用不動産を贈与したが、その後すぐに死亡した場合、
必ず2000万円の配偶者控除の申告をしておいてください。この申告をしない
と、配偶者控除のメリットでもある死亡3年以内の贈与財産を相続財産に加え
る対象から除外されなくなってしまいます。
なお、詳しい申告方法や添付書類等については、最寄りの税務署や税理士にお
問い合わせください。もし身近に税理士がおられない場合は、当事務所でも紹
介可能です。
また、贈与による名義変更がされていない場合は、直ちに贈与登記をする必要
があります。この場合、贈与者の相続人全員(受贈者含む)と受贈者が共同して
行います。また相続登記と違い贈与者の登記上の住所と最後の住所が違う場合
は、住所変更登記が必要となります。
贈与者が贈与した後、3年以内に死亡した場合は、要注意です。
何故なら、贈与者の死亡の3年前から死亡日の間にした贈与財産
は贈与税の有無にかかわらず、相続財産に加算されるからです。
もちろん、相続財産と加算される贈与財産の合計額が相続税の非
課税枠におさまっていれば問題ありませんが相続財産と加算される
贈与財産が、相続税の非課税枠を超えた場合は相続税を申告・納
付しなければなりません。
(例)相続開始3年前から毎年子供二人に各110万円分の不動産の持分を
贈与していた場合
①相続時の相続財産が3000万円で相続人が子供二人のみの場合
3000万(相続時財産)+660万(加算される贈与財産額)=3660万
基礎控除 3000万+(600万×2)=4200万円
基礎控除額のほうが大きいので、相続税の申告・納付不要
②相続時の相続財産が4000万円で相続人が子供二人のみの場合
4000万(相続時財産)+660万(加算される贈与財産額)=4660万
基礎控除 3000万+(600万×2)=4200万円
基礎控除額の方が低いので、相続税の申告・納付は必要
(注)この場合、相続時財産の額のみで判断すると、誤って申告・納付
は不要と判断しがちですので、ご注意ください。
なお、相続開始3年前から開始までにした贈与でも、以下の特例を利用した場合は、
その贈与財産に限って、加算する必要はありません。
① 贈与税の配偶者控除の特例を受けている又は受けようとする財産のうち、
その配偶者控除額に相当する金額
② 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、非課税の適用を受けた金額
③ 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち、非課税の適用を受けた金額
④ 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち、非課税の適用を受けた金額
詳しくは以下の国税庁のページをご参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4161.htm
なお、具体的な税務相談をご希望の方は、税務署又は税理士にご相談ください。
当事務所でも税理士をご紹介することは可能です。
親が子共に対して、贈与する場合には一定の要件を満たせば、
2500万円までは、贈与税が非課税になる、相続時精算課税制度
があります。
相続時精算課税制度→こちら
この制度のデメリットは他のサイト等でも詳しく述べられていますので、
今回はメリットについて述べます。相続時精算課税制度のメリットは、
将来の親の認知症等に伴う、成年後見制度の利用を回避できるという
ことがあげられます。
例えば、親が認知症等になって、介護施設に入所するために親名義の
不動産を売却しなければならない場合は、成年後見制度を利用しなけれ
ばなりません。この制度を利用するには、申立てまでに時間がかかり、
なお、売却後も親が亡くなるまで、すべての財産をきちんと管理しなければ
なりません。また財産が過大になると、裁判所から後見監督人に弁護士や
司法書士が選任されたり、信託銀行との信託契約を勧められたりします。
この後見監督人の報酬や、信託銀行の手数料は親の財産から支払わなけ
ればなりません。この点、先に相続時精算課税制度を利用して子供の名義に
変更しておくと、上記のような心配はなくなります。
また、自宅の土地の名義が親、建物の名義が子供で、親が認知症等になって
いる場合も厄介です。この場合、成年後見制度を利用して自宅の住宅ローン
の借り換えや、リフォームローンを利用することはほぼ不可能になります。なぜ
ならリフォームローン等を利用するには、自宅に担保権(抵当権)を設定し
なければなりません。この担保権(抵当権)を設定する取引は、住宅ローン
を支払えなくなった場合に、競売にかけられ、自宅を失う効果をもたらすので、
成年被後見人等の財産を減少させる可能性がある取引と裁判所がみなして、認
めないからです。
この場合も、相続時精算課税制度を使って、自宅の土地を子供に名義変更して
おけば、そのような心配もなくなります。
上記のように、相続時精算課税制度は、親の認知症等に伴う成年後見制度回避
といったメリットもありますので、ご検討下さい。
相続時精算課税制度のメリットは、この制度を選択して、生前贈与を
受けたとしても、相続時に相続放棄することも可能であるという点です。
なぜなら相続時精算課税制度を選択して、生前贈与を受けた財産は、相
続発生時には相続財産ではなく、相続人の固有財産であり。相続時の相
続財産を放棄する相続放棄の手続きをしても、生前贈与を受けた財産を
失うことはないからです。
従って、この制度を使うことによって、資産価値のない不動産等の財産を
承継させずに、かつ贈与税の負担を軽くすることが可能です。
例えば、承継させたい財産を、まず相続時精算課税制度を選択して、生前
贈与し、手元には資産価値のない財産を残し、相続発生時には、相続人に
相続放棄をしてもらうという方法があります。
上記のような方法をとると、相続人は、資産価値のある財産を承継でき、
かつ資産価値のない財産を承継して処分に困るというような事態を避ける
ことができます。
一方、遺言書を作成した場合はどうでしょうか?まず一般的に作成されて
いる特定財産承継遺言(いわゆる相続させる旨の遺言)の場合、相続放棄
していしまうと、遺言書で記載された財産も相続できず、上記のようなメ
リットはありません。
次に遺言の内容が特定遺贈の場合は、相続放棄しても、原則として遺贈さ
れた財産を取得することが出来ます。但し、相続時に被相続人が債務超過
であった場合、特定遺贈された財産を取得しておきながら、相続放棄をする
行為が、債権者等を害するものと判断された場合、当該特定遺贈が無効、取
消の対象となりますので、注意が必要です。
贈与者からみて直系卑属(子・孫)以外の者、例えば嫁・婿に対して贈与しても
相続時精算課税制度は適用できない事は以前も述べました。しかしながら、嫁・婿
と養子縁組している場合は、直系卑属に当たりますので、他の要件を満たせば相続
時精算課税制度の適用を受けることが出来ます。
なお、贈与した日において受贈者が養子であることが必要ですので、ご注意くださ
い。
贈与のような法律行為を有効にしようとするためには、贈与者が完全な意思能力が
あることが必要です。ところが、贈与者が認知症等である場合、贈与をするために
必要な意思能力がないため、有効に贈与契約を締結することはできません。
この点に関して、贈与者に成年後見人を選任して、贈与をすることが出来ないかと
相談を受けることがあります。
残念ながら、成年後見制度を利用しても、贈与を行う事が出来ません。成年後見制
度は、成年被後見人の財産を保護するための制度ですので、いくら裁判所に選任さ
れた成年後見人であっても、成年被後見人の財産を減少させるような法律行為まで
自由にできるわけではありません。
成年後見人が成年被後見人に代わって、贈与契約を締結することは、まさに成年被
後見人の財産を減少させる行為に当たるからです。
相続登記、遺言書作成、贈与・財産分与・売買・新築等の各種不動産登記、会社登記なら経験豊富な藤田司法書士・行政書士事務所にお任せください。親切・丁寧な対応をモットーとしております。お気軽にご相談ください。
近鉄天理線二階堂駅すぐ!
土・日・祝日・夜間対応可(要予約) 無料相談実施中
対応エリア | 奈良県全域、奈良市、天理市、大和郡山市、斑鳩町、安堵町、三郷町、大和高田市、桜井市、橿原市、川西町、三宅町、田原本町、広綾町、生駒市、葛城市、香芝市 大阪府(東大阪市、八尾市、柏原市、) 京都府(木津川市) 三重県(伊賀市) etc |
---|
相続登記
相続登記費用例
相続手続きサービス
遺産分割による登記
遺産分割協議書作成
相続入門
失敗しない相続登記
相続登記Q&A
相続土地国庫帰属制度
遺贈による名義変更
遺産分割調停・審判
その他相続関係
遺言
贈与登記
不動産売買
個人間売買
財産分与
農地売買・贈与(3条許可)
不動産登記
契約書・示談書(合意書)作成
成年後見
報酬
事務所紹介
奈良県、奈良市、天理市、大和郡山市、桜井市、斑鳩町、大和高田市 葛城市安堵町、王寺町 橿原市、川西町、三宅町、田原本町、広綾町、生駒市 etc