遺言書と異なる遺産分割協議をしても良いですか?

「被相続人の遺言書があるが違う内容の遺産分割協議をしたいが可能でしょうか?」とこのような相談を受けることがあります。例えば遺言書に「全財産をAに相続させる。」とのきさいがあるが、相続人Bさんに取得させたい不動産がある場合等です。
結論をいうと、遺言書と異なる内容の遺産分割協議をすることも可能ですが、一定の要件を満たす必要があります。ここでは要件等や注意点等を記載しています。

〇要件①相続人全員の同意を得ること→こちら(2023/01/31作成)
〇要件②遺言書の内容を全相続人が理解していること→こちら
(2023/02/02作成)
〇要件③相続人以外の受遺者がいないこと→こちら
(2023/02/06作成)
〇要件④遺言執行者の同意を得ること→こちら
(2024/10/17作成)

要件①相続人全員の同意を得ること

まず、大前提として相続人全員の同意を得ることが必要となります。この相続人全員とは、遺言書で
指定されている相続人と新たに取得することになる相続人の合意では足らないことを意味します
。下記
の例を用いて説明します。

  (例)〇遺言書の内容 全財産を相続人Aに相続させる
     〇相続人 A、B、C、D、E
     〇Aさんが一部の財産につきBさんに相続してもらうよう打診し
      Bさんも承諾

 

上記の事例の場合、AさんとBさんの合意はありますが、CDEさんの同意を得ていないため、一部の
不動産につきBさん名義にすることは出来ません。
従って、仲が悪い・音信不通で連絡が取れないといった理由で他の相続人の協力が得られない場合
遺言書と異なる内容の遺産分割協議をすることは出来ません。

要件②遺言書の内容を全相続人が理解していること

相続人全員の同意を得て、遺産分割協議をしたとしても、相続人全員が遺言書の内容を理解していることが必要となっています。遺言書の存在を知らず、また知っていたとしても内容を認識していなけ得れば、後から「遺言書の存在又は内容を知っていたら遺産分割協議をしなかった」等と主張されて、成立した遺産分割協議が無効となってしまいます。
従って、必ず遺言書を全相続人に見せてから、遺産分割協議交渉をしましょう。
なお、当然ですが遺言書を発見したにもかからず、他の相続人に知らせることなく遺産分割協議を行うことは絶対にやめてください。
このような遺言書の隠匿行為は、民法891条で相続欠格事由と定められており、相続権を失ってしまうリスクがあるからです。

要件③相続人以外の受遺者がいないこと

相続人全員の同意を得て、遺産分割協議をしたとしても、遺言書の内容が相続人以外の第三者に財産を承継させるという趣旨であれば、当該遺産分割協議の効力は生じません。
何故なら、このような場合に遺産分割協議を有効としてしまうと、受遺者の関与できないところで、当該受遺者の権利を奪うことになるからです。
このような趣旨から、相続人以外の受遺者がいる場合は、相続人全員で遺言書と異なる遺産分割協議をすることは認められていません。
一方、相続人以外の受遺者が権利を放棄する意思がある場合は別です。このような場合、遺言書と異なる遺産分割協議をしても受遺者の権利を侵害することにはなりませんので、当該協議は有効とされています。なお遺言の内容によって、放棄する方法が定められています。遺言の内容は、受遺者に対する包括遺贈の場合は、相続放棄と同様に、3か月以内に家庭裁判所に対して相続放棄の申述をする必要があります。一方特定遺贈の場合は、期間の制限はなく相続人に対する意思表示で良いとされています。ただし、口頭による意思表示の場合は、後日紛争になるリスクが高いですので、書面でしてもらうほうが良いでしょう。

要件④~遺言執行者の同意を得ること~

遺言執行者がいる場合、当該遺言書と異なる遺産分割協議を行うためには、遺言執行者の同意を得る
必要があります。このように書くと遺言執行者に拒否されてしまったらどうしようと不安になる方も
おられるでしょう。
しかし、このような心配は杞憂です。というのも遺言執行者側からすると、遺言書と異なる遺産分割
協議が認められている以上、相続人全員の意向を無視して処理することについてはメリットがないか

らです。ただ、遺言執行者には遅滞なく処理を進める義務があるため、あまりのんびりしていると
名義変更が既に完了していることも起り得ますので、遺言執行者(特に弁護士等の専門家が選任さ
れている場合)に遺言書と異なる遺産分割を受遺者又は相続人全員で行う旨の意向を伝えておきまし
ょう。

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