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報酬&お知らせのページの記事が多くなってきましたので、新たに本ページを作成し、該当
するものは移行していきます。
報酬&お知らせは→こちら
相続登記の申請が義務化されます(2021/07/20作成)
相続登記の義務化が令和6年(2024年)4月1日から開始されます(2021/12/23作成)
相続登記が義務化されます〜3年以内に遺産分割がまとまらない場合〜(2021/11/22作成)
相続登記の申請義務違反は容易に発覚します。(2022/02/24作成)
相続登記の義務化の具体例①施行日前に生じた相続について(2022/02/22作成)
令和4年(2022年)4月1日から登録免許税の非課税措置が拡充されます(2022/02/08作成)
成人年齢の引き下げに伴う遺産分割協議(2021/12/03加筆修正)
相続不動産を近々売却する予定がある場合の注意点(2022/12/19作成)
死亡の事実はいつ戸籍に反映されますか?(2022/08/01作成)
遺産分割協議を解除できますか?(2022/07/06作成)
面談は1回で済みますか?(2021/08/25作成)
予期せぬ相続人がいた場合の注意点(2022/06/17作成)
農地を相続する場合、農地法上の許可書は必要ですか?(2022/08/08作成)
令和4年10月以降土・日・祝日も登記情報を取得できるようになります。(2022/04/19作成)
申請してから完了までどれぐらいかかりますか?(2021/10/13作成)
相続した不動産を贈与する場合の手続きの流れ(2021/08/25作成)
未登記建物の所有者は被相続人で間違いない?(2021/08/25作成)
被相続人の住民票の添付を要しない場合①(2021/08/31作成)
被相続人の住民票の添付を要しない場合②(2021/09/01作成)
被相続人の住民票を取得する場合の注意点(2022/12/11作成)
被相続人の住所の沿革がつかない場合(2021/09/10作成)
法定相続情報一覧図の写しで省略できる書類は?(2021/09/04作成)
不動産を売却して、売却代金を分ける場合の登記方法(2021/09/21作成)
遺留分侵害額請求権に時効はありますか?(2021/10/27作成)
同じ印鑑を複数の相続人の実印として使用できますか?(2021/12/14作成)
所有者不明土地に対する対策として、民法等の一部を改正する法律が2021年4月
21日成立しました。その改正案の中で、特に重要な改正内容が相続登記の義務化
です。今現在、相続登記の申請期限はありませんが、この改正案では、相続の開
始があったことを知り、かつ当該所有権を取得した日から3年以内に相続登記を
正当な事由がある場合を除いて申請しなければなりません。そして正当な事由な
く申請を怠ると10万円以下の過料に処せられます。
さらに、重要な点がもう一つあります。それは、施行日前に既に発生している相
続についても適用されることです。施行日前に発生している相続については、経
過措置として原則として施行日から3年以内に相続登記を申請しなければなりま
せん。施行日は令和6年4月1日となっていますので、施行日前に発生した相続(現
時点ですでに発生している相続も含む)につては令和9年(2027年)3月31日まで
に申請しなければなりません。もし期限内に相続登記をしなければ、過料に処せら
れる恐れが出てきますので、まだ相続登記をされていない方は早急に相続登記をし
ましょう。
なお、上記の「正当な理由なく」の「正当な理由」は法律上狭く解釈されていおり、
また法律の不知は該当しません。従って、
「忙しくて、相続登記をするのを忘れていた。」
「相続登記の義務化なんて知らなかった。」
といった理由は認められませんので、注意しましょう。
相続登記の義務化を定めた法律が成立したことは別記事で説明しました。(詳しくは
以下のページをご参照ください)
この法案の施行日が令和6年4月1日(2024年)に決定されました。今現在発生してい
る相続については、施行日から3年以内つまり、令和9年3月31日までに申請しなければ
なりません。まだ時間的余裕がありますが早めにしましょう
相続登記の義務化(改正不動産登記法76条の2)が施行されると、相続が開始
(又は施行日)されてから3年以内に相続登記を申請しなければなりません。では
遺産分割協議がまとまっていない又は、遺産分割協議をしていない場合はどうすれ
ば良いのでしょうか?実は、今回の改正によって新たに、法務局へ登記名義人につ
き相続が開始したこと及び自己が相続人であることを申出する制度(以下「申出」
制度)が創設され、この申出制度による申出を3年以内にすれば過料に処せられま
せん(改正不動産登記法76条の3)。従って、遺産分割協議がまとまらない等の
事情で、3年以内に相続登記を申請出来ない場合は、申出をすれば良いことになり
ます。但し、この申出制度については、施行日前の相続についても適用すると明文
の規定がないため、施行日前の相続については、申出制度を利用することが出来な
い可能性があるので、注意が必要です。
相続登記の申請が義務化されても、「違反してもばれないのでは?」と疑問に
思われる方もおられるでしょう。確かに、法務局がいちいち相続が発生している
かどうか調査はしないため、相続登記の申請期限を経過しても直ちに発覚する
わけではありません。しかし、申請義務違反は相続登記の申請をすると容易に発
覚します。相続登記を申請すると、不動産登記簿に受付年月日と原因日付が登記
されます。受付年月日は申請日と一致し、原因日付は相続開始日と一致します。
つまり受付年月日と原因日付を見比べると違反しているかいないかは一目瞭然
です。例えば、登記簿の記載が受付年月日が令和10年4月10日で登記原因が平
成30年4月1日となっている場合、平成30年4月1日に起こった相続についての相
続登記が令和10年4月10日に申請されたことを意味し、期限(令和9年3月31日)
を経過していることから、申請義務に違反していることが判明します。上記の通
り、相続登記の申請義務に違反しているかどうかは、法務局に容易に知られるこ
とになりますので、ばれないだろうと安易に考えることは禁物です。
相続登記の義務化が令和6年4月1日から開始されますが、ここでは具体的な期限に
ついて説明します。まずは義務化開始前に生じた相続についてです。義務化開始前に
生じた相続については、開始後3年を経過するまでに登記申請しなければなりません
(完了ではないことに注意)。従って、令和4年1月1日に相続が生じた場合、令和
9年3月31日までつまり令和8年度末までに申請する必要があります。なお相続の
届出制度の対象となるかは不明です。
令和4年(2022年)現在、不動産の価格が10万円以下でかつ特定の区域内にある土地
(主に市街化調整区域内)に限って、相続登記における登録免許税が非課税となって
います。ただし現在の制度では、対象となる土地が限られており、かつ非課税となる
額の上限が1筆あたり400円となっていることから相続登記の促進目的としては不充分
とされてきました。そこで令和4年4月1日以降非課税制度が拡充されます。拡充後は
不動産の価格が100万円以下の土地
であれば、市街化区域、市街化調整区域を問わず全ての土地における登録免許税が非
課税となり、上限額も1筆あたり4000円となります。具体的には従前では対象となら
なかった以下の土地等が対象となります。
①市街化調整区域の面積が大きい農地
②市街化区域内の公衆用道路
③市街化区域内における土地の持分相続
→持分相続登記における不動産の価格は、土地全体の固定資産評価額に相続する
持分を乗じた額となります。例えば相続する持分が10分の1の場合、土地全体
の評価額が1000万円以下であれば非課税となります。
なお、施行日は令和4年4月1日以降となっていますので、4月1日までは上記の土地等
の相続登記を申請しても非課税となりませんし、4月1日以降も還付されません。従っ
て相続する不動産に上記の土地が含まれている場合は、4月1日以降に申請すること
も検討したほうが良いでしょう。
また現時点では、この非課税制度は時限的な措置とされており、期限が令和7年3月3
1日まで(但し、延長される可能性があります)とされております。
相続が開始し、相続人が親権者(被相続人の配偶者)とその親権に服す未成年者
(被相続人及び親権者の子)である場合において、遺産分割協議をするためには、
特別代理人の選任を家庭裁判所に申立てしなければなりませんでした。なお相続
開始時に未成年者であっても、遺産分割協議の際に成人している場合は、特別代
理人選任の申立てをすることなく当事者間の協議ですることができるため、相続
開始時に未成年者が19歳の場合、相続税の申告等を急いでしなければならない
という事情がなければ、成人になるのを待って、遺産分割協議を行う事もよくお
こなわれています。
さて、令和4年(2022年)4月1日から成人年齢が18歳に引き下げられます。引き
下げ以降は、上記の遺産分割協議においても、相続人が18歳以上であれば、特別代
理人の選任の申立てをしなくてもよくなります。これは、現在すでに発生している
相続についても、令和4年(2022年)4月1日以降に遺産分割協議をする際にも適用
されます。
従って、現在発生している相続について、16歳、17歳の相続人がいる場合急いで相
続登記をしなければならない事情がない限り、令和4年(2022年)4月1日以降に、
当該相続人18歳以上になるのを待ってから、遺産分割協議を行う事を検討しても良
いかもしれません。なお、2022年4月1日以降は、18歳〜20歳の従前の未成年者に
該当する方は、登記申請においても単独ですることが出来ます。
相続不動産を維持管理するのではなく、売却して売却代金等を相続人全員に分配するという遺産分割協議が成立することがよくあります。ただ、被相続人名義のままでは売却することができず、相続登記をしなければなりません。
このようなケースにおいては、法定相続人全員の名義する方法と代表相続人の名義にする二通りの方法があります。法定相続人全員の名義にする方法だと、相続して売却したことが登記上の記録からわかりやすいというメリットがあります。一方売却時の手続きに、法定相続人全員が関与しなければなりません。従って、相続人の数が多い、又は相続人が遠方に住んでいてなかなか集まれないといった事情がある場合等には不向きであるというデメリットがあります。
一方代表相続人の名義にする場合、売却の手続きには代表相続人のみが行い、他の相続人は関与する必要がありませんので売却の手続きがスムーズに進むというメリットがある一方、代表相続人に手間と負担がかかるため、相続人同士の関係が良好でないとトラブルにつながるというリスクがあります。なお代表相続人の名義にする場合、売却代金等の分配時に贈与とみなされないよう、遺産分割協議書に必ず代表相続人が速やかに売却し、経費を控除したうえで分配するといった条項を忘れずにいれておくことが必要があります。
このように、二つの方法いずれもメリット及びデメリットがありますので、事案ごとの事情に応じて検討した方が良いでしょう。
死亡届を提出しても、即日戸籍に反映されません。自治体によって異なりますが、
死亡届を提出してから戸籍に反映されるまで1週間程度かかります。しかもこれは亡
くなられた方の本籍地の市役所等に提出した場合の日数です。届出人の住所地等本籍
地以外の市役所等に提出した場合は、提出した市役所から本籍地の市役所等に郵送で
通知する日数もかかりますので、戸籍に反映されるまでもっと時間がかかります。な
お処理中に戸籍を請求しても交付されません。また本籍地以外に提出した場合で、提
出先の市役所から本籍地の市役所に通知がされていない段階で請求すると、死亡の記
載がされていない戸籍が交付されてしまいますので、注意しましょう。また死亡届の
届出人なら、死亡に関する処理が終わったかどうか自治体に問合せすることが出来ま
す。しかし、相続人であっても届出人出ない場合は、問い合わせをしても答えてくれ
ない自治体がほとんどです。
死亡届の処理期間をまとめると以下の通りになります。
(死亡届が戸籍に反映されるまでの日数)
①本籍地に提出した場合→約1週間程度
②本籍地以外に提出した場合→約2週間程度
当事務所では、相続登記においては原則として面談は最初の1回で済むようにその後
のやり取りはメールや郵送での事務処理をさせて頂いており、実際に多くのケースで
は面談は1回のみで済んでおります。そのため、普段忙しくて時間があまりとれない
という方には大変好評をいただいております。しかし、例えば、想定外の相続人が判
明した等が生じた場合には、直接お会いしてご説明させて頂く必要がありますので、
再度の面談が必要となります。
不動産の調査でよく利用されているのが登記情報提供サービスです。登記情報提供サービス
は法務局の窓口や郵送で取得せずとも、インターネット上で登記情報を取得できる制度です。
登記情報は法務局の認証文は付与されないため、他の官公署に提出することは出来ないこと
が多いですが、所有者等の確認ができるため相続登記における事前調査等に広く利用されて
います。
この登記情報提供サービスは現在は、平日のみしか利用できませんが、令和4年10月以降
は、土日祝日も利用できるようになります。なお令和4年10月以降土日祝日に取得できる
のは登記情報のみとなっており、公図・地積測量図等の図面情報は平日のみしか取得できま
せんのでご注意ください。
奈良地方法務局本局では相続登記を申請してから、完了するまで平均2週間程度かかります。
ただし、混雑期(3月下旬〜4月上旬)や、ゴールデンウィークや年末年始の長期休業期間
の期間中及び期間前後は通常よりも完了まで多くの日数を要します。なお、具体的な完了予
定日は、申請してみないと分かりませんので、相談時に
「具体的な完了予定日を教えてほしい」
「〇日までに完了してほしい」
といったご要望には確約できませんので、お急ぎの方はお早めにご依頼いただけるお願いし
ます。
相続登記の依頼を受け戸籍を調査していると、稀に相談時にお伺いしていた相続関係には
いなかった相続人、いわゆる予期せぬ相続人(相続人が把握していない被相続人の直系卑
属、幼少時に他家に養子にいった相続人等)が判明することがあります。
このような予期せぬ相続人が判明した場合でも、当事務所では依頼者のご意向をお伺いし
てから、戸籍調査を進め、生存しているか住所はどこか等を調べることが出来ます。但し、
注意点が3点あります。
①遺産分割交渉は弁護士ではないので出来ません。
→交渉はご自身でやっていただく必要がございます。
②予期せぬ相続人の出現によって、依頼者が相続権を失う場合は依頼中止となります。
→例えば、被相続人の兄弟や親が依頼者となられていたところ、被相続人にお子様がお
られることが判明した場合です。被相続人の兄弟や直系尊属は、被相続人に直系卑属
(子・孫)がいたときには、相続人とならないからです。この場合被相続人の子が生存
しているかどうか調べるために戸籍を取得し、生存が確認できると直ちに中止させて
いただきます。住民票等の住所証明書は請求できませんのでご了承ください。
③着手金をいただく場合があります。
→相続人調査を依頼される場合は、着手金が必要となる場合があります。なおこの場合の
報酬は相続人特定業務の報酬となります。詳しくは「相続人特定業務」のページをご覧
ください。
相続による所有権移転登記申請には、農地法上の許可は不要です。これは、そもそも
相続による所有権移転は、被相続人の死亡によって当然発生するものであり、そこに
行政が許可をするという余地はないからです。相続とおなじく「遺産分割」を原因と
する所有権移転登記にも農地法上の許可は不要とされています。
従って、「相続」「遺産分割」を原因とした所有権移転登記には農地法上の許可書の
添付は不要です。
なお上記のとおり、許可は不要ですが農地を相続した場合、原則相続によって農地を
取得したことを知った日から10か月以内に農業委員会に届出をしなければなりませんので、お気を付けください。
相続した不動産を相続人以外の第三者に贈与する時は、相続による名義変更を行い、
贈与登記を申請します。なお相続登記を完了させてから、贈与登記を申請してもい
いですし、相続登記と贈与登記を同時に申請する事も可能です。このことを連件申
請といいます。連件申請の具体的な流れは以下の事例を用いて説明します。
(事例)
〇Aが死亡し、相続人はB及びCのみで、Bには妻Dがいる。
〇A名義の不動産があるが、名義はDに変更したい。
①まずAからBへと相続登記が必要なので、戸籍謄本等必要書類を収集します。
↓
②戸籍謄本等の必要書類が揃ったら、遺産分割協議書等の書類を作成します。
↓
③遺産分割協議書にB及びCが署名及び押印します。
↓
④贈与登記に必要な書類を作成し、B及びDが署名・押印します。
↓
⑤相続によるB名義への所有権移転登記及びBからDへの贈与による所有権
移転登記を連件申請します。
↓
⑥完了
なお、便宜上番号を振りますが、③と④は同時並行的にすることが多いと思われ
ます。また相続登記に添付する印鑑証明書には期限はございませんが、贈与登記
に添付する贈与者の印鑑証明書(上記の例だとB)は3か月以内の有効期限がご
ざいますので、お気を付けください。
相続財産に未登記建物があった場合、固定資産課税台帳に被相続人名義として登録さ
れているため、被相続人の所有を前提として手続きを進めがちです。
実は、「固定資産課税台帳の名義人=所有者」ではありません。法務局における未登
記建物に関して建物表題登記を申請するにあたっては、固定資産課税台帳に登録され
ていることをもって所有者と認定するのではなく、当該建物の建築年等を調査し総合
的に判断されます。いくつか事例を用いて説明します。
①未登記建物の建築年が昭和45年で、被相続人が昭和50年生まれの場合
→被相続人の出生前に建てられているので、被相続人が遺産分割や遺言等で相続し
たことを証明する書類が無い限り。原則として、所有者は被相続人ではないと認定されます
②未登記建物の建築年が昭和45年で、被相続人が昭和40年生まれの場合
→被相続人の出生後に建てられているが、被相続人が5歳の時に建てられ
ている。通常5歳児が建物を建てることは不可能と考えられるため、①
と同じく原則として、所有者は被相続人ではないと認定されます
③未登記建物の建築年が昭和45年で、被相続人が昭和20年生まれの場合
→被相続人が25歳が建物を建てられているため、他の資料等にもよりま
すが、被相続人の所有と認定される可能性は高いです。
このように、未登記建物を登記する場合、被相続人の上の世代の相続となり、
相続人の数が多くなり、遺産分割協議がまとまらず登記できないといった事態
も発生します。このような事態を避けるためにも、未登記のままほったらかし
にせずに登記をしておきましょう。
一般的に、相続登記に必要な書類として被相続人の住民票(本籍地入)
が必要とされています。しかしながら、被相続人の住民票が不要な場合
があります。
そもそも、被相続人の住民票は、登記上の住所と被相続人の本籍が異な
る場合
に必要となります。従って被相続人の本籍と登記上の住所が同じ場合は
不要となります。これは住民票が保存期間満了により廃棄されていない
場合でも同様です。なお、被相続人の本籍と登記上の住所が同じとなる
ためには番地まで同一である必要です。例えば
登記上の住所 奈良県天理市〇〇町100番地
本 籍 奈良県天理市〇〇町100番地1
となっている場合、番地が一致していないため同一とみなされません。一方
登記上の住所 奈良県天理市〇〇町100番地の1
本 籍 奈良県天理市〇〇町100番地1
となっている場合、「の」が入っているかいないかの違いであり番地は同一
とみなされ、住民票等は不要です
次に、本籍と登記上の住所が一致しない場合でも、住民票を提出しなくてもよい場合
があります。
それは平成29 年3 月23 日付法務省民二第175 号の通達によって認められま
した。この通達が出るまでは、本籍と登記上の住所が一致しないときは、住民票を
添付することが原則でした。しかし住民票等の保存期間が5年と短かったため、住
民票等では被相続人の同一性を認定することが困難な事例が多々ありました。
そこで、本通達では被相続人の同一性を認定することが出来る書面として住民票等
だけではなく、権利証(登記済証)も認める取扱いとなりました。
従って、権利証を添付することが出来る場合は、被相続人の住民票を添付する必要
はありません。
被相続人の住所と登記上の住所の沿革(本籍とも違う)がつかず、権利証もない場合
どのような書類を添付すれば良いのでしょうか?実はこのような場合の統一的な取り
扱いはなく、各法務局と相談の上、申請する事になります。
しかし、多くの法務局では以下の書類を求められることが多いです。
①上申書
→被相続人と登記名義人が同一人物である旨を記載した書面に相続人全員
が署名・実印で押印した上で、印鑑証明書を添付します。
②保証書or固定資産税納税通知書及び領収書
→保証書は上申書とほぼ同じ内容で、相続人以外の方2名に署名・実印で押印
したうえで印鑑証明書を添付します。
→保証人は成人なら誰でも良いですが、通常は相続人の配偶者や子供等の親族
にお願いすることが一般的です。
→固定資産税納税通知書及び領収書を利用する場合は、名宛人が被相続人ではなく
納税管理人となっている場合は、さらに保証書を求められることがありますので
ご注意ください
→固定資産税納税通知書及び領収書を利用する場合は、最新の年度でよいのか、そ
れとも過去何年度分が必要なのか法務局に相談する必要があります。
被相続人の住民票を相続登記に添付する趣旨は、被相続人と登記名義人が同一人物である
を証明するためです。従って、被相続人の住民票は
①本籍地の記載があること
→被相続人の戸籍との関連性を明らかにするため
②登記上の住所と関連がつくこと
の二つの要件を満たさなければなりません。しかし、①については自治体の窓口で単に住民票
を請求すると本籍地が省略したものが発行されてしまいます。また②についても、一部の自治
体では、請求者が要望しない限り前住所の記載を省略して発行されます。
このような住民票は取得されても、相続登記に使用できません。住民票を取得する際は、必ず
上記①②の記載があるものを請求するように注意しましょう。
法定相続情報一覧図の写しを提供すると、通常の相続登記と比べると以下の書類の添付
が省略できます。
①必ず省略できる書類
〇被相続人の戸籍・除籍・原戸籍謄本
〇相続人の戸籍謄本又は抄本
②場合によっては省略できる書類
〇被相続人の住民票
〇相続人の住民票
→これらは、法定相続情報一覧図の写しに被相続人及び相続人の住所が
記載されている場合に省略できます。
遺産分割の種類の一つに、相続した不動産を売却して、売却代金を法定相続人
全員で分配するという「換価分割」というものがあります。
この換価分割する場合でも、亡くなられた方の名義のままでは、売却できま
せんので、相続登記をしなければなりません。
この換価分割においてなされる相続登記としては、法定相続人全員の名義に
する法定相続分による相続登記申請が行われることが多いです。
確かに、法定相続による相続登記を行えば、法定相続人全員で相続して売却
したことが登記簿からも明白ですので、税務上の処理がしやすくなります。
しかし一方で、法定相続人全員の名義にしてしまうと、売却の際に原則とし
て、名義人全員が集まらなくてはならず、日程の調整が難しくなります。
また、売却の際に名義人の一人に手続きを委任する事は可能ですが、この場合
でも司法書士による本人確認・意思確認及び登記に必要な書類の授受が必要と
なり、各個面談が必要となり手間が増えます。
従って、相続人が多く、日本全国に在住しているようなケースでは法定相続
による相続登記をすることは避け、便宜相続人の一人の名義にする遺産分割
協議による相続登記をした方が無難でしょう。
なおこの場合、贈与税の問題を避けるために遺産分割協議書には、相続した
不動産を売却し、売却代金を分配する旨を明記し、便宜相続人の一人の名義
にしたことが分かるようにしておきましょう
遺言書を用いて相続登記をしても、他の相続人から遺留分侵害額請求権を行使
される可能性があります。では遺留分侵害額請求権に時効はあるのでしょうか?
民法では、遺留分侵害額請求権の時効について次のように定めています。
①相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間
又は
②相続開始の時から10年を経過したとき
①の場合、条文上では遺留分権利者が自己に「相続が開始したこと」「遺留分を侵害
する贈与又は遺贈があったこと」を知ったときからとなっていますが、現実的には相続
開始日よりも後に知ったことを証明するのは難しいですので、通常は相続開始日より
1年以内になされることが多いです。
また②より、相続開始後10年を経過した後は、遺留分侵害額請求権を行使される恐れ
はありません。
実印は、他の人が既に登録した印鑑以外の印鑑を登録しなければなりません。
これは実印が、重要な契約等で、本人確認及び意思確認として使用されている
ことから、実印を複数人で共有することは望ましくないからです。
現に自治体によっては明確にホームページ等で「実印の共有はできません」等
の記載があります。
ただし、印鑑登録を各相続人がそれぞれ別日にすることによって、結果として
印鑑登録できてしまう事があります。
しかしながら当事務所においては、同じ印鑑を実印とした印鑑証明書をお持ち
いただいても、本人が押印したか疑念が生じることから、受付できず、再度別
の印鑑で登録をお願いすることになりますのでご注意下さい。
相続登記、遺言書作成、贈与・財産分与・売買・新築等の各種不動産登記、会社登記なら経験豊富な藤田司法書士・行政書士事務所にお任せください。親切・丁寧な対応をモットーとしております。お気軽にご相談ください。
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