遺産分割協議書記載例

遺産分割協議書の記載例を載せています。よろしければご参照ください。なお遺産分割協議書
全てを記載すると長くなりますので、条項部分のみ記載しています。


記載例 全財産を一人の相続人が取得する場合(2023/06/06)
記載例 預貯金の全部を相続人の一人が取得する場合(2023/06/07)
記載例 銀行の預金(残高を記載しない場合)(2022/09/01)
記載例 銀行の預金(残高を記載する場合)(2022/09/05)
記載例 未分割の財産の帰属先をあらかじめ決める場合(2023/06/07修正)
記載例 債務を特定の相続人が承継する場合(2023/06/07作成)

記載例 全財産を一人の相続人が取得する場合

まず始めは、相続人の一人が全財産を取得するケースです。全財産を取得する場合
個別財産を列挙する必要はありません。シンプルに記載すれば良いのです。列挙する
と財産の誤記してしまうリスクがあり、名義変更できなくなることにつながります。
そこで、以下のように記載しましょう。


「全ての相続財産を相続人 甲野 太郎 が取得する」

このように記載しておけば、今現在把握している財産以外に新たな財産が発見されて
も、再度協議をし直す必要はありま
せん。逆に言えば、他の相続人からすると、将来
予期せぬ財
産がでて来た時に、相続権を主張できなくなります。そのため上記の記載
に難色をしめすことも考えられるでしょう
。そのような場合には無理に上記の記載に
固執せずに他の記載を検討したほうが無難です。

協議書の記載例 預貯金の全てをを一人の相続人が取得する場合

預貯金すべてを一人の相続人が取得するパターンの記載例です。この場合、記載例として
考えられるのは2つあります。基本的にどちら
を選んでも構いません。②は預金を列挙し
ていますが
「を含む全ての預貯金」との記載がある事から列挙した預貯金以外の預貯金が
みつか
った場合でも、再度遺産分割協議をすることなく取得できます

①「預貯金の全部を相続人 甲野 太郎 が取得する」

 

②「下記記載の預貯金を含む全ての預貯金を相続人 甲野 太郎 が取得する。」

    1.株式会社 〇〇銀行 〇〇支店

       普通 口座番号 123456789

    1.株式会社 △△銀行 △△支店

       普通 口座番号 987654321

記載例 銀行の預金(残高を記載しない場合)

被相続人の財産に預貯金がある場合、必ずしも預金残高を遺産分割協議書に記載
する必要はありません。
当該預金を相続人の一人が取得する場合は、銀行名・種類・
口座番号を記載すれば特定できるからです
。この場合の記載例は以下の通りとなります。


「相続人 甲 野 太 郎 が取得する財産(もしくは「相続人 甲 野 太 
 郎 は下記財産を取得する」等の記載でも可)
 1.株式会社 〇〇銀行 △△支店
   普通預金 口座番号 111111
   口座名義人 甲 野 一 郎
 1.株式会社 □□銀行 ✕✕支店
   定期預金 口座番号 222222 
   
口座名義人 甲 野 一 郎        
          」

記載例 銀行の預金(残高を記載する場合)

被相続人の財産に預貯金があり、残高も記載したい場合は必ず残高証明書を取得しま
しょう
。なお、残高証明書を取得してから、実際に名義変更をするまでに利息が発生
することもあり得ますので、単純に証明書記載の金額を記載すれば良いというわけで
はなく、協議書の記載にも以下のような工夫が必要です。

「相続人 甲 野 太 郎 が取得する財産(もしくは「相続人 甲 野 太 

 郎 は下記財産を取得する」等の記載でも可)

 1.株式会社 〇〇銀行 △△支店
   普通預金 口座番号 111111
   
口座名義人 甲 野 一 郎
   残高 〇〇〇〇〇〇〇円及び相続開始後に発生した利息並びに
   その他の果実                     
 」

上記のように利息等も相続するということを明確にしておくことが必要です。なお
ここでいう果実とは法律用語で、一般に使われている意味とは異なります。この場合
預金及び利息以外の受け取るべき金銭を指します。

記載例 将来未分割の財産が見つかった場合に帰属先を決めておく条項

遺産分割協議書作成後に、被相続人の未分割の財産が発見された場合、原則として、
再度遺産分割協議をしなければなりませんが、当初の遺産分割協議書に未分割の財
産が発見された場合の帰属先を定めていれば、再度協議する必要はありません。
この
場合の記載例は以下の通りです。

「本件遺産分割協議成立後に発見された未分割の相続財産については、甲 野 一 
 郎 が取得する。」

「本遺産分割協議書に記載のない財産が発見された場合においては、甲 野 一 郎
 が取得する。」

このようにすれば、再度遺産分割協議する必要はありません。ただし、未分割の財産
が財産的価値が高いものであること場合であっても、再度の協議無く特定の相続人が

できてしまいます。
そのため、上記のような条項を入れようとすると、
他の相続人が反対し遺産分割協議
が成立しなく
なるリスクもあるので、入れるか入れないかは慎重に検討しましょう。


「本件遺産分割協議成立後に発見された未分割の相続財産については、再度相続人
 全員で協議するものとする。


と記載する場合もあります。これは帰属先を定めた条項ではありません。しかし、
この条項を入れることには、協議した財産は協議書記載の財産のみということを相
続人間で明確にし、協議書記載以外の財産を勝手に取得した等の疑念を抱かれるこ
とを回避できるというメリットがあります。

 

 

記載例 債務を特定の相続人に承継させる場合 

遺産分割協議で債務を特定の相続人に承継させる旨の協議が成立した場合の記載例は
次のとおりとなり
ます。

 

「被相続人が株式会社〇〇銀行に対して負担していた債務については相続人 甲野 太

 郎 が承継する。」

 

 

なお、上記のような遺産分割協議が成立したとしても、債権者との間で直ちに有効となる
わけではありません。実際に甲野太郎以外の相続人が債務から離脱するには、債権者(上
記記載例では株式会社〇〇銀行)の承諾が必要です。承諾が得られないと、債務から離脱
出来ず、
債務の弁済を求められる恐れがあります。そのようなリスクを完全に回避する
めには、
プラスの財産も一切相続できなくなりますが、家庭裁判所に相続放棄の申述をす
る以外に方法はありません。

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