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現状有姿売買とは(2022/10/10作成)
住宅ローンを利用する場合の注意点(2022/11/29作成)
契約交渉にあたっては譲歩することも大切です(2022/12/23作成)
1月から3月に売買する場合の注意点(2022/12/24作成)
境界を確定しない場合の注意点(2023/07/04作成)
仲介会社を通さない個人間による不動産の売買(以下「個人間売買」とします)において、
よく用いられるのが、現状有姿売買です。現状有姿売買とは、何ら修繕・修補することなく
現状時における状態のまま引き渡すことを指します。売主側のメリットとしては修繕する
必要がありませんので、リフォーム代を節約できます。また買主側としても現状有姿売買
の場合値引き交渉がしやすくなるというメリットがあります。
現状有姿で売買する際の売買契約書における条項例は以下の通りです。
「第〇条 甲(売主)は乙(買主)に対し、引き渡し時において本件不動産及び残置物を
現状有姿で引き渡し、乙はこれを承諾したうえで買受る。
2 甲は乙は、前項における本件不動産及び残置物に故障・不具合等があったとし
ても修繕義務等一切の責任を負わず、乙もこれを承諾し、売買代金の減額を含
む変更及びその他何ら請求しないものとする。
なお、この現状有姿の条項は主に経年劣化が生じている場合に、売主は修繕しないことを
合意したものです。従って、契約した目的を達せられないような故障(例えば、シロアリ
の被害)等は対象外となります。
個人間売買において、住宅ローンを借りて購入しようとする場合、仲介会社をいれなけれ
ば利用することが困難です。何故ならほとんどの金融機関では、住宅ローンの申し込み時に
重要事項説明書の提出が必要ですが、この重要事項説明書は宅建業の免許をもつ不動産会社
でないと作成することが出来ないからです。
但し、一部の金融機関では重要事項説明書の提出が無くても申込を受け付けているところも
ありますので、あらかじめ数多くの金融機関に問い合わせてみることも良いでしょう。また
融資を受けている等の取引関係にある金融機関があれば、親身に対応してくれる場合もあり
ますので、検討してみましょう。
これは個人間売買に限らず、仲介会社が介入している売買にも当てはまることですが、契約
交渉に当たってはついつい自分達の有利となるような条件ばかり出しがちです。しかし、例
えば買主が以下のような主張をしたらどうなるでしょう。
「売買価格は値引きして欲しい。」
「契約不適合責任は法律の規定より加重してほしい。」
もちろんこのように主張することも自由ですが、売主にとってはメリットは全くありません。
従って、売主が交渉を打ち切ることも十分ありえます。
一方、買主が
「売買価格は値引きして欲しい。してくれたら契約不適合責任を問いません。」
と主張した場合はどうでしょう。この場合売主は値引きをする点ではデメリットですが、契
約不適合責任を負わないという点ではメリットといえます。従って、売主も買主も互いに譲
歩していることになりますので、交渉もまとまりやすいといえます。
1月から3月の間に個人間売買を行う場合、注意が必要です。それは翌年度の固定資産税等の納付義務が売主様にあることです。例えば、令和5年1月15日に売買をすると、令和5年4月以降に、売主様宛に令和5年度の固定資産税納付通知書が送られてきます。
これは、法律的には何も問題ないのですが、売主様としてはもうすでに手放した不動産の固定資産税等を支払わなくてはならないのは不公平です。そこでこのような場合、翌年度の固定資産税等は買主様が負担するという合意がなされることが一般的です。ただ、精算方法については主に以下の二通りの方法が採られることが多いです。
①売買時に翌年度の固定資産税を買主様から売主様に支払う
→この場合、売買時点の属する年度の固定資産税等額を翌年度の固定資産税等額と
みなして精算します。
②納付書が来てから精算する。
→この場合、送られてきた納付書を買主様に回付し買主様が支払う方法と、売主様が
いったん立て替えて支払いした後で、買主様が売主様に支払う方法があります。
個人間売買を現状有姿での取引とする場合、売主は境界確定作業を行わず、買主様に引き渡す
こととなります。しかし、契約書にその旨を明示していないとあとでトラブルになりますので
契約書の条項に入れておきましょう。条項としては以下のようになります。
「第〇条 売主は本件土地の境界を確定させないで買主に引き渡す。
2 買主は引き渡し後、自己の責任において境界を確定させるものとする。
3 買主が、前項の規定に基づき境界を確定させようと試みたが、確定できなか
ったときでも売主は一切の賠償責任を負わない。 」
第2項は買主様の責任としているのは、費用を売主様が負担しないということを、第3項は将来何ら
かのトラブルで境界を確定できなかった場合でも売主が責任を負わないということを明らかにして
います。なお、購入する不動産の境界確定をしてもらいたい場合は、必ず交渉過程で協議しましょ
う。ただし、この作業は費用が高額になることから、事前に売買契約を締結し、手付金を入れるよ
うに求められることもあるでしょう。
境界を確定させないで売買することに驚かれるかもしれませんが、自宅の隣地を購入する場合や
同じ分譲地の他区画を購入する場合、売買代金が廉価の場合等ではよく行われます。
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