遺言書作成

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遺言書作成のメリット

電話で相談できますか?(2021/08/27作成)

遺贈とは〜相続との違い〜(2021/07/05作成)

遺贈による所有権移転登記が単独申請となります(2021/07/11修正)

遺言書作成前の注意点〜住所・氏名を現在の表示にしよう〜(2021/05/26作成)

財産が多くなくても遺言書作成を

誤記のある遺言書は無効?(2021/11/08加筆修正)

遺言書で遺留分侵害額請求権を放棄させることは出来ますか?(2021/10/29作成)

遺言書で特別受益の持戻し免除をする場合の記載例(2021/11/11作成)

遺言書よりも受遺者が先に亡くなったら?(2021/07/15作成)

予備的遺言の具体例(2021/07/15作成)

遺言書で二次相続まで指定することが出来ますか?(2021/10/15作成)

借地権付き建物がある場合の文例(2021/10/06作成)

分譲マンション(敷地権付区分建物)を記載する場合の注意点(2021/10/11作成)

遺言書で保険金受取人の変更はできますか

遺言書で二次相続まで指定することが出来ますか?(2021/09/21作成)

信用金庫等の預金を遺言書に記載する場合の注意点

死亡退職金の受取人を遺言書で指定できますか?

遺言書で配偶者居住権を取得させる場合の注意点(2021/05/17)

遺留分を無視した遺言は有効?

付言事項に相続人への不満や悪口を書くのはやめましょう(2021/04/12)

未登記建物がある場合の遺言書作成の注意点(2021/02/15更新)

遺言書を撤回したい場合(2021/12/03作成)

電話で相談できますか?

お電話によるご相談では、遺言書の制度についてのご説明等は対応いたしますが、

個別具体的な遺言書の作成等については、相談過誤を防ぐ観点から承っておりま

せん。ご了承ください。

遺言書作成のメリットは以下のとおりです。

  • 相続争いを防止できる

   自分の死後、遺言書を作成していないとあなたの財産をめぐって

   相続人同士で争いがおこるかも知れません。遺言書作成は相続人

   同士の争いを防止できます。

  • 相続人以外の人・団体に財産を残せる

   例えば、遺言書を作成すること長男の嫁・孫等の相続人以外の人や

   団体に財産を直接残すことができます。

  • 相続人に対する財産分配の方法を自由に決めることができる

   例えば、遺言書を作成することによって、相続人の内、次男より長男

   に相続分を増やすことができます。

  • 相続人の負担を軽減できる。

   相続登記をするためには、原則相続人全員の合意が必要ですが、遺言

   書があれば、他の相続人の合意は必要ありません。

遺贈とは〜相続との違い〜

遺贈とは、遺言書によって遺言者の財産を特定の人に譲り渡すこと

をいい、いわば贈与契約と近い性質を持っています。遺贈には、

財産の全部又は相続財産の全部を一定の割合で特定の人に遺贈す

包括遺贈と、特定の財産を、特定の人に遺贈する特定遺贈2種

類あります。では、遺贈は相続とどう違うのでしょうか?

遺贈と相続における大きな相違点を以下に挙げておきます。


①放棄の手続きが違う。

 まず、包括遺贈の受遺者が遺贈を放棄したいときは、相続とおなじく

 原則として3か月以内に家庭裁判所に放棄の申述をすることになります。

 一方、特定遺贈については、このような時期や手法について制限はなく

 放棄したいときは、相続人に対する意思表示のみで済みます

 なお、特定遺贈の受遺者が受諾又は放棄のいずれの意思表示もしないと

 きは、相続人等は受遺者に対して一定の期間を定めて、承認又は放棄の

 意思表示をするよう求めることが出来ます。この期限内にいずれの意思

 表示もしないときは、遺贈を承認したものとみなされます。


②相続人以外にも財産を譲渡すことが出来る。

 相続は、当然相続人たる資格が法律で定められていますので。相続人以外

 が相続できませんが、遺贈については受遺者に資格はありませんので、相

 続人以外にも財産を譲り渡すことが出来ます


③特定遺贈の場合、受遺者が相続放棄をしても、受諾できる

 特定遺贈の受遺者が相続人でもある場合、相続放棄をしても、当該特定遺

 贈の対象となっている財産を取得することが出来ます。

 一方、包括遺贈や相続させる旨の遺言における受遺者が相続人である場合

 相続放棄してしまうと当該遺言における対象財産を取得することが出来ま

 せん。

遺贈による所有権移転登記が単独申請となります

遺贈による所有権移転登記は、相続とは違い、現在受遺者が単独で登記

をすることが出来ず遺言執行者又は遺言執行者がいないときは、遺言

者の相続人全員と共同して申請しなければなりません

従って、遺言執行者が遺言書で指定されていないときは。相続人全員に

協力してもらうか、又は裁判所に遺言執行者の選任の申立てをしなけれ

ばならず、手間がかかり速やかな遺言の実現の妨げとなっていました。

そこで、2021年4月21日に民法等の一部を改正する法律が成立(公布

日同年4月28日)し、遺贈による所有権移転登記は、受遺者が相続人

である場合に限り単独で申請する事が可能となります。但し、法律が成

立しても直ちに施行されるわけではなく、公布されてから3年を超えな

い日までに施行されるとなっていますので、しばらくは現行通り、共同

で申請しなければなりません。なお新法の規定は、施行日以降について

申請され遺贈による所有権移転登記について適用されるとなっている

ことから、遺贈や遺言書作成自体が施行日前にされていても、施行日以

降について申請されるものについては適用され、単独申請することが可

になるものと思われます。

また、今回の改正は上記にも記載したとおり、相続人に遺贈した場合に

限られ、受遺者が相続人以外の場合は従前どおり、相続人全員又は遺言

執行者との共同申請となりますので、ご注意ください。

遺言書作成前の注意点〜住所・氏名を現在の表示にしよう〜

遺言書作成前に確認すべき点があります。それはご自身が所有されている

財産の登録・登記上の住所・氏名が現在の住所と氏名が合致しているかど

うかという事です。

もし、登記・登録上の住所・氏名が古いままだと、遺言執行時に登記・登

録住所・氏名と沿革がつく住民票の除票・戸籍の附票等が必要となってき

ますしかし、住民票の除票・戸籍の附票は令和元年(2019年)6月20日

までは、保存期間が5年間と短く、登記・登録上の住所から複数回住所変更

している場合は、登記・登録上の住所から沿革がつかず、遺言執行が困難

又は出来なくなる恐れが出てきます

従って、登記・登録上の住所・氏名が現状と異なることが判明した場合は、

ちに住所・氏名変更手続きをしておきましょう。

なお、今後取得される財産についてですが、住所については住民票等の

保存期間が150年とされていますので、沿革がつかなくなる恐れは少なく

なると思われます。

財産が多くなくても遺言書作成を

よく遺言の相談をされる方に、公正証書遺言の作成をお薦めすると

以下のような反応がかかってきます。

遺言書を作成するほど財産が多くない。」

財産が多くないのに公証人に遺言を頼むのは気が引ける。」

相続税がかかるほど多く財産をもっていないため大丈夫。」

このように、遺言書を作成する事に消極的な方が多くみられます。

しかし、遺産をめぐる相続人同士の争いは、それまでの家族の人間

関係によっておこるものであり、財産の多い・少ないにかかわらず

起こっています。相続争いが起こってからだと、解決に時間も・費用

も多大にかかってしまいます。遺産の額が少ないからといって安心せ

ずにきちんと遺言書を作成しましょう

誤記のある遺言書は無効?

遺言者が死亡後又は検認後に、遺言書に誤記があることが判明した場合、果

たして当該遺言書は無効なのでしょうか?

遺言書に誤記があった場合、当該誤記が明白な場合は、有効とされています

従って、誤記のある遺言書を発見した場合は、一度法務局と事前相談してみ

ると良いでしょう。参考に判例を載せておきます

ただし、これから遺言書を作成しようとしている場合は、当然誤記は無い方

が良いですので、誤記がないように作成しましょう

自筆証書による遺言の作成過程における加除その他の変更についても、民法

 968条2項所定の方式を遵守すべきことは所論のとおりである。しかしな

 がら、自筆証書中の書の記載自体からみて明らかな誤記の訂正については、

 たとえ同項所定の方式の違背があつても遺言者の意思を確認するについて支

 障がないものであるから、右の方式違背は、遺言の効力に影響を及ぼすもの

 ではないと解するのが相当である」(最判昭同47年3月17日第二小法廷

 判決)


上記の判例は、誤記の訂正に方式違背について言及したものですが、方式違背

=法律上の訂正はされていないという事ですので、未訂正の明白な誤記につい

ても当然有効となりうるものと解釈していると思われます

遺言書で遺留分侵害額請求権を放棄させることは出来ますか?

遺言書を作成した場合でも、当該遺言書によって、相続分がなかったり、遺留分

を侵害された遺留分権利者は、遺留分侵害額請求権を行使することが出来ます

では、遺言書によって、遺留分侵害額請求権を行使できないようにするこは可能

でしょうか?

この点、遺言書をもってしても、遺留分侵害額請求権を放棄させることは出来ま

せん。そもそも遺留分侵害額請求権は、相続人間の公平性を図るために、遺言書

によって相続できなかった者に対して救済するために設けた制度であるため、遺

言者の意思によって放棄できるとこの制度の意味がなくなるからです。

なお、被相続人の兄弟が相続人となる場合で、兄弟以外の者に相続又は遺贈する

という遺言書を作成した場合、兄弟はそもそも遺留分権利者ではないので、遺留

分侵害額請求権を行使されることはありません

遺言書で特別受益の持戻し免除をする場合の記載例

特別受益にご用心

特別受益の持戻しを免除した方が良い?

上記記事にて、生前贈与をしても特別受益制度があること及び遺言書によって

持戻しの免除をすることが出来ると説明させていただきました(詳しく知りたい

方はクリックしてご覧ください)

しかし、いざ遺言書で特別受益について持戻しの免除を行おうとしても、書き方

がわからないという方がほとんどだと思われます。

そこで、記載例を載せておきますのでご参照ください。

「第〇条 遺言書は、長男〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に対して令和〇〇年

     〇〇月〇〇日付贈与契約に基づき行った下記不動産の贈与について、特

     別受益とせず相続財産に持戻ししないものとする。


       所   在 奈良県天理市〇〇町

       地   番 〇〇番

       地   目 宅地

       地   積 100㎡                」



遺言書よりも受遺者が先に亡くなったら?

通常、被相続人よりも前に相続人たる子供が死亡していた場合、当該子供に直系

卑属がいるときには、その直系卑属(孫等)が代襲して相続人となります。

では、例えば遺言者Aが、

     「私の所有する全財産を長男Bに相続させる」

と遺言書を作成しが、Aよりも先にBが亡くなってしまい、長男Bに子供つまりA

からみて孫Cがいる場合、Cは代わりにBが取得すべきだった全財産を取得できるの

でしょうか?

結論は、 残念ながらCは代襲相続人として本件遺言書を基に全財産を取得するこ

とは出来ず取得するためには他の相続人と遺産分割協議を行う必要があります。

これは、本件遺言書からは、Bが先に死亡していた場合には、Cに相続させたいという

意思が読み取れないからです。

もっとも、このような事態が起こっても予備的遺言を書いていると、Cに全部取得させ

事が出来ます。この予備的遺言については別記事で書きます。

予備的遺言の具体例

遺言者よりも先に受遺者が死亡した場合には、受遺者の相続人が遺言書記載の財産を

取得できない事は別記事で書きました。

   遺言書よりも受遺者が先に亡くなったら"の記事をご参照ください

もちろん、先に亡くなってしまった受遺者以外に財産をあげたい人がいなければ、何の

問題もありませんが、受遺者が先に死亡していた場合に、他に財産をあげたい人がいる

場合は、予備的遺言を書くことによって実現できます。予備的遺言の文言例としては以

下の記載が考えられます。ちなみに遺言者はAとします。

「第1条 遺言者は、全財産を長男B(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に相続させる

 第2条 遺言者は、長男Bが遺言者よりも先に死亡していた場合は、Bの長男である

     C(平成〇〇年〇〇月〇〇日生)に相続させる             」

上記の下線が引かれた部分が、予備的遺言の部分です。この予備的遺言がある事によって

BがAよりも先に死亡している場合に、Cに全財産を相続させたいという意思が確認できる

ため、Cは単独で取得できるようになります。

遺言書で二次相続まで指定することが出来ますか?

遺言書作成の相談であるのが、「自分の死後は妻に相続させたいが、妻が亡くなった

後は、長男に相続させたい」といった、二次相続まで遺言書で指定することができるか

というものです。

結論から言うと、遺言書では2次相続の指定までは出来ません。何故なら、相続が発生

すると相続財産は相続人固有の財産となり、処分権限は相続人自身に帰属するところ、

被相続人が二次相続の指定まで出来る事を認めてしまうと、一次相続人の処分権限を

奪う事になるからです。

しかしながら、遺言者単独では、二次相続まで指定できませんが、一次相続人も遺言

書を作成する事が出来ます。なお上記の「自分の死後は妻に相続させたいが、妻が亡

くなった後は、長男に相続させたい」場合は、以下のような条項の遺言書を作成します。


夫の遺言

「遺言者は、遺言者の財産を全て妻〇〇に相続させる」

妻の遺言

「遺言者は、遺言者の財産を全て長男〇〇に相続させる。」


なおこれでは、妻が先に死亡した場合、全ての財産が長男が相続してしまうことにな

ります。そうした事態を避けたい場合は妻の遺言書の条項を以下のようにすれば良い

でしょう。


妻の遺言

「遺言者は、遺言者の財産を全て夫〇〇に相続させる。

 遺言者よりも前に、夫〇〇が死亡していた場合は、遺言者の全ての財産を長男〇〇

 に相続させる」


このようにすれば、夫よりも前に妻が死亡した場合も、妻の財産全てを長男が相続する

ことは避けられます。


(注)なお上記条項は、分かりやすく説明するために簡略化しておりますので、上記条項

   を参照して作成された遺言書の有効性について保証するものではありません。実際の

   遺言書作成にあたっては、必ず専門家に相談してください。


借地権付き建物がある場合の文例

遺言書を作成する際に、自宅等が借地権付き建物である場合、建物だけでなく

借地権についても忘れずに記載しておきましょう。具体的な文例は以下のように

なります。

第1条 遺言者は下記の建物及び借地権を妻 〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇

    〇日生)を相続させる。

   1 建物

     所  在 奈良県天理市〇〇町〇〇番地

     家屋番号 〇〇番

     種  類 居宅

     構  造 木造瓦葺2階建

     床 面 積    1階 50・00㎡

          2階 30・00㎡

   2 前記1の敷地である下記土地に対する借地権

     所  在 奈良県天理市〇〇町

     地  番 〇〇番

     地  目 宅 地

     地  積 150・00㎡

     地  代 月8万円

なお、個別列挙方式ではなく、単に、相続させる財産を全財産と表記した場合、借地権

も当然「全財産」に含まれますので、上記のように特定する必要はありません。

分譲マンション(敷地権付区分建物)を記載する場合の注意点

遺言書に、分譲マンション(敷地権付区分建物)を記載したいときは、不動産登記事

項証明書を参考に記載します。しかし、そうはいっても、敷地権付き区分建物の登記事項

証明書は表題部の記載量が多いため、全部書くのは相当労力がかかります。そこで、

以下に記載例を示しておきますので、ご参照ください。

「第1条 遺言者は下記の建物及び借地権を妻 〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇

    〇日生)を相続させる。

   1 一棟の建物の表示

      所    在  奈良県〇〇市〇〇町100番地 

      建物 の 名称  〇〇マンション

     専有部分の建物の表示

      家 屋  番 号  〇〇町 100番の409

      建物 の 名称  409             

      種    類  居 宅

      構    造  鉄筋コンクリート造1階建

      床  面  積  4階部分 75・41㎡

     敷地権の表示

      符    号  1

      所在及び地番  奈良県〇〇市〇〇町100

      地    目  宅 地

      地    積  1000000・00㎡

      敷地権の種類  所有権

      敷地権の割合  1000000分の7541

なお、敷地権が2筆以上ある場合は、符号2、3・・・登記事項証明書に記載されて

いますので、上記の要領で追加していきます。また登記事項証明書に記載している不

動産番号は特段記載する必要はありません。

遺言書で保険金受取人の変更はできますか

保険契約の締結時期によっては、生命保険等の保険金受

取人の変更を遺言ですることが法律上当然に出来ます

その時期とは保険法という法律が施行された平成22年4月

1日以降です。保険法が施行されるまでは、遺言で保険金等

の受取人の変更が可能か不可能かについて明文の規定がな

く、実務でも見解が分かれていました。そこで保険法の第44条

で、遺言で保険金受取人の変更が可能と定められました。従っ

て保険法が施行された平成22年4月1日以降に締結した保険

契約については遺言で、保険金受取人の変更することが可能と

なりました。但し、遺言が効力を生じた後(遺言者の死亡後)、相

続人が変更した旨を保険会社に通知しなければ、変更した旨を

保険会社に主張することができません。(保険法第44条2項)

つまり通知前に、変更前の保険金受取人が保険金を請求し、保

険会社が保険金を支払っていた場合、変更後の保険金受取人

は保険金を保険会社に請求できません。従って、このようなリス

クを避けるためにも、保険金受取人の変更を遺言で定めるよりも、

生前に保険会社に、保険金受取人の変更手続きをした方がよい

でしょう。

一方、平成22年4月1日よりも前に締結した保険契約の場合は

保険法第44条の規定は適用されませんので、遺言で保険金受

取人の変更が可能か、不可能かは各保険会社の判断によります

ので事前に保険会社に確認した方が良いでしょう

信用金庫等の預金を遺言書に記載する場合の注意点

遺言者の財産の中に、信用金庫等の預金がある場合、

「〇〇信用金庫〇〇支店の預金債権を長男A(昭和〇

〇年〇〇月〇〇日生)に相続させる。」といった条項

の遺言書では、不都合な事態が起こる可能性があり

ます。信用金庫や信用組合、農協、ろうきん等の金融

機関と一定の取引を行っている場合、出資金を支払っ

ています。この出資金は、株式会社で例えるなら、株式

にあたり預金には、該当しません。従って、上記のよう

な記載の仕方の遺言書だと、出資金は含まれておらず

相続人の一人が、出資金の返還請求をする場合には

遺産分割協議を行わなくてはなりません。従って、信用

金庫等の預金を遺言書に記載する場合には、出資金を

支払ったかどうか確認する必要があります。そして出資

金がある場合には、出資金も含めるような記載の仕方

例えば、「〇〇信用金庫〇〇支店の預金債権及び出資

金債権を長男A(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に相続さ

せる。」といったようにしなければなりません。

死亡退職金の受取人を遺言書で指定できますか?

遺言者が、現役世代の方だと、自分が定年前に亡くなった

場合に備えて、死亡退職金の受取人を指定できるかについ

て関心ある方は多いでしょう。結論から言えば、死亡退職金

については、就業先の規定によると言わざるをえません

就業先の規定に、死亡退職金の受取人について明記されて

いれば、死亡退職金は遺言者の財産ではなく、受取人固有の

財産と解釈され、遺言者が受取人の指定をする事は出来ませ

ん。一方就業先の規定に、遺言により受取人を指定出来る

旨の規定があれば、遺言者が受取人の指定をする事は可能

と思われます。従って、死亡退職金の受取人を遺言で指定

したい場合は、まず就業先の規定がどのような規定になって

いるか確認してみましょう。

遺言書で配偶者居住権を取得させる場合の注意点

2020年4月1日に配偶者居住権制度が開始されました(配偶者居住権について

はこちらのページをご参照ください→こちら)。

配偶者居住権を遺贈や遺産分割で取得する事ができます。ここで注意いた

だきたいのは、「遺贈又は遺産分割」とされていることです。例えば、

記のような条項の遺言があったとします。

「妻 甲野 花子(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生) に下記建物の配偶者居

 住権を相続させる」

上記の文例は、遺言書作成で主流となっている「相続させる旨の遺言」で

す。この「相続させる旨の遺言」は遺産分割の方法の指定と解釈され、遺

贈ではありません。もちろん、登記実務では、基本的に「相続させる旨の

遺言」では、配偶者居住権の登記を認めないとしつつも、当該遺言書全体

の記載から、遺贈の趣旨と解する事に特段の疑義が生じない限り、登記を

することが出来るとしていることから、必ずしも上記の条項で配偶者居住

権の登記が認められないというわけではありません。

しかしながら、「相続させる旨の遺言」ではどのような記載がの疑

義」にあたるのか明確にされていないため、法務局の解釈次第では、認め

られないというリスクが常に内在していることになります。

従って、遺言書で配偶者に配偶者居住権を取得させたい場合は、遺言書に

はっきりと遺贈である旨を記載しましょう。記載例は以下の通りです。


妻 甲野 花子(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に下記建物の配偶

   者居住権を遺贈する

遺留分を無視した遺言は有効?

遺言書を作成しても、相続人には遺留分があります。遺留分とは相続人

に与えられている最低限の権利といえます。これは法律によって決められ

ている権利なので、遺言書でたとえ、「〇〇の遺留分をゼロとする」と

書いても遺留分を奪うことは出来ません

このように書くと、必ず遺留分に配慮した遺言書を作成しなければ無効に

なるかもと不安に思われる方も多いでしょう。

しかし実は、遺留分を無視した遺言書は有効で、遺言執行も何の問題もな

く行えます

また遺留分侵害額請求権をいつまでも行使できるとなると、受遺者や法的

安定性の保護に欠けますので、以下のように時効が設けられています


〇相続の開始及び遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から

 1年間行使しない時

〇相続の開始から10年を経過した時


以上の事から、遺留分を無視した遺言書を作成したとしても、必ず遺留分侵害額請求

を行使され、応じなければならないわけではなく、遺留分侵害額請求を行使されない、

又は行使されたとしても請求に応じなくても良いケースもあります


従って、遺言書を作成する際には、原則に戻り自分の希望を実現できるような遺言書

を作成するように心がけましょう。その結果、遺留分を侵害することになりそうな場合

は遺言書を修正するのも良いですし、受遺者に遺留分侵害額請求を受けた際に払える

金銭を用意するように伝えるといった対応をするのも良いでしょう。

ちなみに、兄弟姉妹には遺留分はありませんので、兄弟姉妹が相続人になるケースに

おいては、遺留分の関係で遺言書が問題になる事はありません。

付言事項に相続人への不満や悪口を書くのはやめましょう

遺言書には、財産の分配方法等の法的効果が生じる事項と、

書いたとしても法的効果が生じない事項があります。この

法的効果が生じない事項の事を「付言事項」といいます。

付言事項には、遺言書の作成に至った経緯、財産分配の理

由、残された家族の融和への祈念等、遺言者の思いを自由

に書くことができます。例えば相続人が妻A 子Bがいる

ケースで

  「妻Bに全ての財産を相続させる」

としか記載されていない遺言書があったとします。これでは

遺言者の思いが分からないので、Cが財産の分配を請求する

可能性があります。そこで次のような付言事項を加えます。

  「妻Bに全ての財産を相続させる

   妻Bに全ての財産を相続させたのは、私が亡くなって

   一人残されるであろう母さんのことが気がかりだからです。

   私が、豊かな人生を送れたのは、ひとえに母さんが支えて

   くれたおかげです。私が亡くなった後、母さんが苦しい生

   活を送ることがないことが父さんの最後の願いです。結果、

   Cには何も残せないが、父さんの最後のわがままだと思って

   理解してほしい。」


いかがでしょうか?このように遺言者の思いを記載する事によって、

遺言者が何故このような遺言書を作成したのかがCに伝わり、結果

財産分配を請求しない可能性が高まります。。

このように付言事項は、遺言者の思いを相続人に伝え、遺言内容を

納得して受け入れてもらうために行われるものです。

ですが、ごくまれに相続人への不満・悪口等を書いた遺言書を拝

見する事があります。先ほどの例だと


「Cは、家を出てからほとんど顔を出すこともない冷たい人間な

 ので一切財産を相続させませんでした。生前の行為を反省し

 遺留分を請求すること無きよう求めます」


といった具合です。このような遺言書をCが読めばどう思うでし

ょうか?たいていは怒るでしょう。そして元々は遺留分を請求

する気がなくても、怒りのあまり遺留分を請求し、母親である

Bと絶縁するということも十分考えられます。

従って、付言事項を書く場合は、直接的な不満愚痴悪口等は

もちろん、不満・愚痴・悪口等ととられかねない表現も避けま

しょう

未登記建物がある場合の遺言書作成の注意点

未登記建物がある場合、遺言書にはどのように記載すれば良いでしょうか?

この点について、固定資産評価証明書の記載に基づいて作成すれば良いと

一般的には言われており、公正証書遺言でもそのように取り扱われています。

しかし、必ずしも固定資産評価証明の記載に基づいて作成する事に、リスク

がないわけではありません

何故なら、市役所も常に、当該未登記建物について、正確に把握しているわ

けではないからです。床面積が多少異なる程度なら、問題になる可能性は低

いですが、実際には床面積が大きく異なる、所在地番が異なる、市区町村が

全く把握していない建物が存在していたといったケースがあります。これら

のケースでは遺言書の記載と実際の建物との同一性が認定されず、遺言書ど

おりに遺言執行できなくなる恐れがあります

従って、未登記建物がある場合は、事前に当該未登記建物について表題登記を

申請しておく事が最善の手です。表題登記を申請するにあたって、土地家屋

調査士が調査しますので、上記のようなケースを防ぐことができます。

但し、「全ての財産を〇〇に相続させる」、「全ての不動産を〇〇に相続さ

せる」「全ての建物を〇〇に相続させる」といった内容の遺言書を作成しよう

としている場合は、「全ての財産」等の記載で未登記建物も含まれていますの

で、表題登記をする必要性はありません

遺言を撤回したい場合

遺言書を作成しても、気が変わればいつでも自由に撤回することが出来ます。撤回

は遺言でしなければなりませんが、撤回の対象となる遺言書と同一の遺言の方式で

しないといけないわけではありません。例えば、自筆証書遺言方式で作成した遺言

を公正証書遺言で撤回出来ますし、逆に公正証書遺言方式で作成した遺言自筆証

書遺言で撤回する事も出来ます。撤回の文言例を下記に記しておきます。

〇遺言書の全部を撤回する場合

 「第1条 遺言者 甲野 太郎 は令和2年4月1日に作成した遺言を撤回する。」 

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司法書士 藤田恭平

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