相続人に行方不明者がいる場合

相続登記の申請を阻害する要因として、相続人の中に行方不明者がいる場合もあります。この
ような事例においては、裁判手続きを経ないといけない等の手間と費用が多大にかかることが
ネックとなっていました。しかし、法律改正によって、
所在等不明共有者持分取得制度が創設さ
れるなどして、従前よりは簡易な手続きで解決が可能となっています。ここでは相続人が行方不明となっている場合の手続等を解説していますので、ご覧になりたいページをご参照ください。

〇そもそも行方不明とはどんな場合?→こちら(2023/05/22作成)
〇不在者財産管理人申し立てをする→こちら
(2023/05/30作成)
〇所在等不明共有者持分取得制度とは→こちら
(2023/05/31作成)
〇所在等不明共有者持分取得制度の要件→こちら
(2023/05/31作成)
〇事前手続き~住民票等を取得しよう~→こちら
(2023/08/08作成)
〇事前手続き②~住所に手紙を送ろう~→こちら
(2023/12/13作成)
〇事前手続き③~他の共有者の了解を得よう~→こちら
(2023/12/14作成)

そもそも行方不明とはどんな場合?

相続人が行方不明とは、単にどこに住んでいるか分からないという意味ではありません。何故な
ら、居場所が分からなくても、戸籍や住民票の取得等の相続人調査を行えば、生死やどこに住んでいるかが判明することがよくあるからです。このような事例においては、取得した住民票上住
所宛に郵便物を送る等の連絡をして、遺産分割交渉を始めることとなります。
相続人が行方不明とは、
上記のような相続人調査をしても、相続人の生死が分からない、又はどこに住んでいるかわからない等のことを指します。具体的には、

  
①住民登録がされていないため住民票等が取得できない。
  ②住民登録はされているが、実際には住んでいない。


等があげられます。このような事例においては裁判手続きが必要等になり、通常の相続手続きでは処理できません。なお相続人調査をご希望の方は、以下のページをご参照ください。
  相続人特定業務→こちら

 

不在者財産管理人選任を申し立てる

相続人が行方不明の場合、従前だと不在者財産管理人選任申立てを家庭裁判所に行い、選任さ
れた管理人と遺産分割交渉する方法しかありませんでした。しかし、この方法には

  遺産分割しても裁判所の許可を得ないといけない。

というデメリットがあります。つまり、選任の申立てだけではなく、遺産分割協議の許可まで
裁判手続きが必要となることから、相続手続き完了まで長期間要することとなるのです。また
管理人の報酬を確保する観点から、申立時に数十万円以上の予納金が設定されることも多くあ
り、金銭的負担もネックとなっていました。さらに、不在者財産管理人の業務は、行方不明状
態が解消されるまで続くため、負担の大きさからなり手不足が生じていました。
  

 

所在等不明共有者持分取得制度とは

上記のように不在者財産管理人制度は手間と費用がかかるため、利用するのにはハードルが高い
状態でした。そこで、もっと簡易な方法で、
行方不明の共有者の持分を他の共有者が取得できる
制度いわゆる所在等不明共有者持分取得制度が創設され、令和5年4月1日からスタートしています
。この制度は、一定の要件を満たせば、当該所在等不明共有者の持分を他の共有者に取得させることを裁判所が認めるというものです。不在者財産管理人制度とは違い1回の申し立てで取得することが出来ますので、比較的短期間で取得できます。またこの制度は通常の共有状態にあ
る場合だけではなく、相続によって共有となっているいわゆる遺産共有にも適用されるので、今
後相続人に行方不明者がいる場合でも利用が進むと思われます。

所在等不明共有者持分取得制度の要件

所在等不明共有者の持分取得を請求する裁判を申し立てて許可を得るためには以下の要件を満た
す必要があります。

  ①不動産が共有であること
       →登記名義人が死亡して、相続人の共有となっているいわゆる遺産共有でも可能です

  ②遺産共有の場合は、相続開始後10年を経過していること。
       →例えば平成26年(2014年)1月1日に相続が開始し、相続人の一部が所在不明の場
     合において、この制度を利用できるのは、令和6年1月4日以降となります
  
  ③他の共有者を知ることが出来ず、又はその所在を知ることができないとき
     →共有者の一人が死亡し、その相続人が明らかでない場合も含まれます。


  ④当該所在不明共有者の持分相当価格を供託をすること
     →持分相当価格を算出するためには、不動産鑑定士の鑑定書や不動産会社の査定書等
     が必要となります
。またこのようにこの制度は無償で持分を取得することは不可能
     ですので、ご注意ください。最も従前の不在者財産管理人制度でも同様の運用がな
     されています。

          ⑤他の共有者(当該所在不明共有者除く)から異議が出ないこと
   →他の共有者から異議が出ると認められませんので、この制度を
当該所在不明共有者
    除く一部の共有者から
利用する場合は、必ず他の共有者の承諾を得ておく必要があ
    ります。

事前手続き~相続人の住民票等を取得しよう~

ここからは所在等不明共有者の持分取得を請求する裁判を申立てに関する具体的な手続きを
解説します。まず相続においてこの制度を利用する場合、大前提として

   〇相続人の住民票等を取得できるかどうか

が重要になってきます。住民票等が取得できるということは、当然住民登録されているという
ことですので、行方不明の可能性は少なくなります。逆に住民票等が取得できない(職権消除
されていて除票しか取得できない場合も含む)場合は、行方不明の可能性が高いということが
いえます。
ただ、たとえ共同相続人であっても、他の共有者の住民票等を取得することは不可能です。自
治体等に当該行方が分からない相続人の住民票等を請求しても、市町村役場は後でトラブルに
巻き込まれることを恐れ、個人情報保護を名目に発行を拒否するからです。
しかし、当事務所に相続人特定業務をご依頼いただくと、相続人全員の氏名及び住所を記載した相続関係説明図を作成することができます。司法書士・行政書士は相続人特定業務の依頼を受けると職権で住民票や戸籍の附票・戸籍謄本等を取得することが法的に認められているからです。
相続手続きでお困りの方は、一度お気軽にお問い合わせください。

   相続人特定業務→こちら

 

 

事前手続き②~住所宛に手紙を送ろう~

さて、相続人特定調査の結果、行方が分からない相続人の住民票等が取得でき、住民登録されて
いることが判明したとしても
、ただちに
所在等不明共有者の持分取得制度を利用できなくなった
わけではありません
。何故なら、長年住んでいないにもかかわらず住民登録だけ残っているとい
うこともあるからです。そこで、住民票等を取得出来たら次にとるべき手段は当該住所に手紙を
送ることです。もし住民登録だけ残っている時は、手紙を送付しても


        
あて所に尋ねあたりません

というスタンプが押されて返送されてきます。一方実際に住んでいる場合は返送されること
はありません。つまり返送されないということは住んでいる可能性が高いということになりま
す。
ただ、親戚や家族が住んでいると、本人が住んでいなくても配達されることもあるため、
何度か手紙を送り何の反応もない場合は、現地訪問することも考えましょう。

事前手続き③~他の共有者の了解を得る~

さて所在等不明共有者の持分取得制度を利用にあたって、利用予定者(以下申立人とします)と行方不明者以外に共有者がいる場合は、当該共有者に所在等不明共有者の持分取得制度の利用についてあらかじめ了解を得ておきましょう。というのも申立後に、申立人と行方不明者以外の共有者が異議を申し出た場合(遺産分割請求又は共有物分割請求が必要)は、所在等不明共有者の持分取得制度に関する裁判を続けられなくなるからです。
なお、遺産共有の場合は申立人と行方不明者以外の相続人が該当します。例えば、相続人が被相続人の妻A、子供B・C・Dであり、Bが行方不明となっている時に、Cが本制度にかかる裁判の申し立てをする場合は、A及びDが申立人及び行方不明者以外の共有者となります。
この場合においては、事前にA及びDに制度について説明をし、仮に
A及び(又は)Dが持分取得したい旨の意向があるときは共に申出人となって貰いましょう。

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