自筆証書遺言

自筆証書遺言は、公証人に依頼せず、御自身の自筆で作成する遺言です。

公証人に依頼しない方法のため、公証人の手数料がかからないため、安価

で出来るというメリットがある面、有効性で問題になる点や、隠匿・破棄される

おそれがありあます。 自筆証書遺言には以下の点に気をつけてください。

  • 自筆

   自筆でする必要がありますので、財産目録を除いてパソコン・ワープロで

   作成してはいけません。またいくら自筆で良いからといって、鉛筆・シャ

   ープペンシルで作成することは、改変されるおそれがあるので、ボールペ

   ンで書く必要があります。

  • 作成年月日

   自筆証書遺言を作成した日付をきちんと書いてください。「平成21年7月吉

   日」という記載方法は具体的な日付が分からないので無効です。

  • 署名

   必ず署名してください。押印は実印・認印・拇印のいずれでもかまいません。

   しかし、訂正のしやすさの点から、拇印ではなく、実印又は認印で押印する

   方がのぞましいでしょう。

  • 訂正

   訂正方法は厳格に定めされているので、慎重にしましょう。訂正方法を間違

   えると訂正しなかったものとされますので注意しましょう。

     (訂正例)

    ・文字を削除する場合 該当場所の文字を「=(二重線)」で文字が見える

     ように消去し、脇に印を押し、行頭余白に「本行何字削除」と記載し

     署名する。

    ・文字を訂正する場合 該当場所の文字を「=(二重線)」で文字が見える

      ように消去し、脇に正しい文字を書き印を押し、行頭余白に「本行何字

     訂正」とし署名する。

    ・文字を加入する場合 該当場所の文字に「<」で文字を加入し脇に印を

     押し、行頭余白に「本行何字加入」とし署名する。

     詳しくは下記をクリックしてください。

  • 保管

   保管には、細心の注意を払ってください。せっかく作成した遺言書が死後

   見つからないとか、預けた人によって改変されてしまういったことがないよ

   うに、信頼のできる人に大切に保管を頼みましょう。

  • 検認

      自筆証書遺言は遺言者の死亡後、家庭裁判所の検認をしなければなり

   ません。なお遺言書の検認は遺言書の有効・無効を判断する手続ではあ

   りません。

自筆証書遺言作成の注意点〜遺言者の住所を忘れずに〜

「私の財産は全て長男の甲野一郎に相続させる。

 令和3年5月1日 甲野太郎 印」

上記のような、遺言者の住所を記載していない自筆証書遺言(検認済)

があったとして、果たして上記の遺言書ですんなり相続登記できるで

しょうか?。民法上は遺言者の住所が記載されていなくても有効です。

しかし上記遺言書を用いてすんなりと遺言執行できるかは別問題です。

通常相続登記あたっては、遺言書記載の遺言者の住所・氏名と遺言

者の住民票を用いて登記名義人の住所と氏名と一致させることによ

って、遺言者と不動産の登記名義人が同一であると認定しています

従って、遺言書に遺言者の住所の記載がない場合、さらに別の書類を

用いて同一性を証明しなくてはならず、証明できないような場合、当

該遺言書を用いて相続登記を受理されない可能性があります。このよ

うな事態を避けるために、遺言書には遺言者の住所(本籍・生年月日

の記載もあればなお良し)をきちんと書いておきましょう

なお、遺言書に住所がない場合に、同一性を証明するのに有用な代表的

書類を下記に列挙しておきます。

 〇被相続人(遺言者)の死亡後の住民票(本籍地入り)又は戸籍の附票

 〇被相続人(遺言者)名義の登記済証

 〇遺言書に実印で押印されていて、遺言書作成時に取得した印鑑証明書

  が残っている場合は、当該印鑑証明書

 〇受贈者(相続人)作成の上申書           ・・・等々


(注)上記はあくまでも、代表例です。実際の申請にあたっては自己判断

   で申請せずに、事前に管轄の法務局にご相談ください。

帰化された方が自筆証書遺言を作成する場合の注意点

自筆証書遺言は、日本に帰化された方でも作成することが出来ますしかし、日本に

帰化された方が作成を検討されている場合に知っておいたほうが良い注意点がありま

す。自筆証書遺言を作成した場合、遺言者の死後に検認手続きを経る必要があります

、裁判所に検認手続きの申立てをする際に、遺言者の出生から死亡までの戸籍・除

籍・原戸籍謄本等を添付する必要があります。帰化された方は帰化されてから死亡まで

の戸籍は取得できますが、出生から帰化までの戸籍は取得できません

この点、検認手続きにおいて出生から死亡までの戸籍・除籍・原戸籍等の添付を求める

趣旨が、相続人を確定し検認期日を通知するものだとされていることから、帰化された

方については、帰化されるまでの元の国籍を有していた国の証明書の添付を求められます

従って、遺言者が帰化された方である場合、自筆証書遺言を作成しても、相続人の負担

は軽減されませんので公正証書遺言の作成を検討されたほうが良いでしょう。

遺言書は封筒にいれて封印しなくてはいけませんか?

遺言書といえば、「遺言書と表面に記載された封筒に入れられていて、封印が

されている」というようなイメージを持たれている方が多いのではないでしょ

うか?

しかし、実は遺言書は封筒に入れて封印しなくてはならないというのは間違い

です。そもそも民法上は封印は要求されていません。従って封印されていても、

されていなくてもその他の要件が満たしていれば有効となります

逆に、封印されている遺言書の方が取り扱いに注意を要します。封印されている

遺言書を発見した場合、勝手に開封してはなりません。検認手続きを家庭裁判所

に申立て、指定される検認期日に裁判所によって初めて開封されることになりま

す。この規定に反して、勝手に開封すると、5万円以下の過料に処せられます。

時々、「遺言書を発見したから、弁護士又は司法書士に開封してもらおう。」と

おっしゃられる方がいますが、これも上記のとおり間違いですので注意してくだ

さい。

検認の手続方法・必要書類・費用について教えて下さい

自筆証書遺言の法務局保管制度が始まっていますが、従前どおりの自筆

証書遺言を作成する事も可能です

しかし、保管制度を利用しない遺言書の場合、当然ながら家庭裁判所の

検認の手続きをする必要があります。この記事では検認の手続きの流れ

や必要書類等について解説していきます。

①必要書類の収集

 検認申立書に添付する以下の書類を集めます

  〇被相続人の出生から死亡までの除籍・戸籍・原戸籍謄本

  〇相続人全員の戸籍謄本

   →上記は相続人が子供のみ又は配偶者及び子供のみの場合に必要

    な書類です。代襲相続が起こっている場合、直系尊属又は兄弟

    が相続人となる場合、配偶者のみが相続人となる場合は、必要

    となる戸籍が異なります

   →家庭裁判所によっては、被相続人及び相続人全員の住民票(本

    籍地入)又は戸籍の附票を求められる場合があります。

②申立書の作成

 申立書を作成します。申立書は裁判所で直接貰うか又は裁判所のホーム

 ページからダウンロードできます。申立書には申立て費用分の収入印紙

 を貼り(遺言書1通につき800円)、予納郵券を添えて提出します。必

 要な予納郵券の額は家庭裁判所によって異なりますのでお問い合わせく

 ださい。なお申立ての段階では遺言書は必要ありません


③申立書の提出

 被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所に申立書を提出します。被相

 続人の最後の本籍地又は申立人の住所を管轄する裁判所ではありません

 のでご注意ください。

④検認期日の指定

 申立てをすると、家庭裁判所から検認期日の指定の連絡が来ます。申立て

 した遺言書の保管者は必ず出席しなければなりません。

⑤検認済証明書の取得

 検認が終わった後、遺言書に検認済証明書を付けて貰います。この検認済

 証明書を付けてもらうことによって、遺言執行することが出来るように

 なります。

検認期日に相続人全員が出席しなくてはなりませんか?

検認期日の指定は全相続人に通知されますが、相続人全員が必ず期日に出席

しなければならないというわけではありません。ただ遺言書の保管者たる

立人は必ず出席しなければなりません。

従って、申立人を除く他の相続人全員が欠席していても、検認期日に検認で

き、他の相続人が欠席していることは、検認手続きの有効性になんら影響を

与えるものでありません

自筆証書遺言のメリット&デメリット

自筆証書遺言には以下のようなメリットとデメリットがあります。

①メリット

  〇自筆で作成すれば良いので、費用がかからない。

  〇自筆で作成するので、いつでもどこでも作成できる

  〇誰に知られることなく作成できるので、秘密が保たれる

②デメリット

  〇形式不備・内容不明確で、トラブルになりやすい

   →自筆証書遺言が有効と認められるためには、厳格な要件

    が課せられており、要件を満たさなかったり、満たしていても

    専門家のチェックを受けていないため内容不明確となり遺言

    執行できない場合があります。

  〇家庭裁判所の検認手続きが必要で、すぐに遺言執行できない

   →法務局への保管制度を利用すれば検認手続きは不要になりました。

  〇秘密性がある分、死後遺言書が発見されなかったりする場合がある。

   →法務局への保管制度を利用すれば遺言書保管証明書を発行して

    もらえるので、このデメリットはなくなりました。


自筆証書遺言を法務局に保管できるようになります

2020年7月10日から、法務局に自筆証書遺言を保管できる

ようになります

今まで、自筆証書遺言は公証人役場に出向かずに気軽に作成でき

るというメリットがありましたが、自己の責任で保管しないとい

けないため、紛失等のリスクや、死後に裁判所で遺言書の検認手

続きをしなければならないというデメリットがありました。

そこで、これらのデメリットをなくし、自筆証書遺言の作成を

促進するために、法務局における遺言書の保管等に関する法律

成立し法務局における自筆証書遺言書保管制度が創設され、20

20年7月10日施行されることになります

この制度によって、法務局に保管することによって紛失のリスク

を回避し、また法務局に保管された自筆証書遺言については検認

手続きを不要として、相続手続きの簡略化もはかっています。

但し、全ての法務局に保管の申請を出来るわけではなく、不動産

登記等とは同じように管轄が定められており、管轄の法務局に

ついてはまた別の記事に記載します。

自筆証書遺言を保管できる法務局

自筆証書遺言保管制度(以下「保管制度」といいます)に

おいても全ての法務局に保管申請出来るわけではありませ

。不動産登記等と同じように、保管制度においても管轄

が定められており、管轄の法務局に保管申請することにな

っています。管轄は法律で以下のようにさだめられており

ます。

①遺言者の住所地を管轄する法務局

②遺言者の本籍地を管轄する法務局

③遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局

④①〜③のいずれかの法務局に保管申請した後に、2回目以降に

 遺言をする場合は、最初にした保管申請した①〜③の法務局

例えば、①〜③の住所・本籍・所有不動産の所在地が全て天理市に

ある方が保管申請する場合、奈良地方法務局 本局 に申請すること

になり、たとえ奈良地方法務局 桜井支局 の方が距離的に近くても

奈良地方法務局 桜井支局には申請できません。

また、一部の法務局(出張所等)では保管事務を取り扱っていないため

不動産登記の管轄区域と保管事務の管轄区域が一致していないため注意

が必要です。

奈良県においては、奈良地方法務局 橿原出張所 は保管事務を取り扱

わないことになっています。従って奈良地方法務局 橿原出張所 の不動

産管轄区域である橿原市・磯城郡(川西町・田原本町・三宅町)・高市郡

(高取町・明日香村)に住所等がある方は、大和高田市にある 奈良地方

法務局葛城支局 に保管申請することになります。


当事務所の自筆証書遺言の保管申請支援サービス

2020年7月10日から開始される自筆証書遺言の保管制度は、

手数料の安さと検認手続きが不要というメリットから、多くの方

が利用されることが想定されます。しかし大きな注意点があります。

それは、遺言書の内容については審査をしないという事です

つまり遺言する財産の記載ミスや相続人・受遺者の表示ミス等

があったとしても、それらを確認する資料等を添付する事は要求

されていないため、法務局で見過ごされて保管され、その結果

遺言書の内容通りに手続きが出来なくなるというリスクがあります。

そこで当事務所では、自筆証書遺言保管申請支援サービスを新たに

提供する予定です。報酬と詳しいサービス内容は以下のとおりです。


(サービス内容)

〇自筆証書遺言の文案作成又は(及び)添削

  →作成(添削)に必要な戸籍等の収集も含みます

〇保管申請書の作成及び必要書類の収集

〇法務局への保管申請手続き予約の代行

  →法務局が本人からの予約のみしか受け付けない場合は

   行えません。

〇法務局へ保管申請する際に同行いたします。

  →保管申請は必ず遺言者本人が法務局に行く必要があり

   ます。

(報酬)

  〇奈良地方法務局(五條支局除く)管内

       金5万円(税別)

  〇奈良地方法務局 五條支局 管内

       金6万円(税別)

上記に加えて、法務局への手数料等の実費がかかります。

報酬

報酬(実費別・税別)

①お気軽に自筆証書遺言チェックサービス

   報酬 金2万円

②自筆証書遺言文案作成サービス

   報酬 金4万5,000円

   上記に必要種類の収集に必要な実費がかかります。

   また単なるサンプルをご希望の方や、文案が簡単な

   内容である場合は、程度に応じて減額します。

③自筆証書遺言の保管支援サービス

   報酬 奈良地方法務局管内(五條支局) 金5万5000円

      五條支局            金6万円

   このサービスには以下の内容が含まれます

   〇自筆証書遺言作成の相談

   〇自筆証書遺言の文案作成

   〇自筆証書遺言保管に関する必要書類収集・作成

   〇法務局への保管の申し出の際に同行  ・・・・等々

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