農地の売買・贈与の注意点

通常の不動産の売買・贈与は、当事者間のみの合意で登記ができます。しかし農地の売
買・贈与
は当事者の合意のみではすることは出来ず、農業委員会又は都道府県知事の許
を得る必要があります。この許可は、3条許可・4条許可・5条許可の3種類があり
ます。いずれの許可も申請すればすぐに許可されるというものではなく、標準的には申
請してから
1か月程度かかる事が多いですので、事前準備から考えるとそれ以上の期間
をみておいた方がいいでしょう

 

①3条許可

  農地を農地のまま利用する目的で、売買・贈与等する時に必要な許可です。市街化区
 域・市街化調整区域を問わず必要です。

②4条許可

 自己所有の農地を、農地以外に転用する場合で、所有権移転を伴わない時に必要な許
 可
です。但し、農地が市街化区域にある場合は届出でたります。届出とは、届出書の
 記載不備や提出を
求められている書類を提出しなかった場合等を除き、受理されるも
 ので許可よりはハードルが低いといえるでしょう。

③5条許可

 農地を、農地以外に転用する目的で、売買・贈与等する場合に必要な許可です。但し、
   4条許可と同様に市街化区域にある農地の場合は届出で足ります。

 

 

 

贈与税にご注意ください

市街化調整区域内の農地を贈与する場合、面積にもよりますが、固定資産評価
額が10万円~20万円ほどの低額であることが多いため、農地を複数一括贈与
しても、贈与税が課税されないと勝手に思いがちです。
しかし、贈与税における農地の財産評価は、固定資産評価額に一定の倍率を乗
じて行います
。この倍率は、国税庁のホームページに地域ごとに毎年度公表さ
れています。この倍率は、地域によってばらつきはありますが、最低でも20
倍以上の倍率なっている地域がほとんどですので注意
が必要です。例えば、倍
率が20倍の地域で、評価額が10万円の農地を贈与する場合、10万円贈与
したのではなく、200万円贈与したことになり、贈与税の非課税枠を超えて
いますので、受贈者(貰った側)に贈与税がかかってきます。従って、農地を
贈与する場合、必ず倍率表をチェックし、贈与税がどれぐらいかかるか検討し
たうえで、贈与するか判断しなくてはなりません。評価額だけに着目して、
易に複
数の農地を一括して贈与してしまうと、予想もしてなかった高額の贈与
税が課税されてしまいます。

農地を農地利用目的で売買・贈与するための要件(3条許可)

農地を農地利用のまま売買・贈与する場合に必要な

3条許可を得るためには一定の要件があります。

 

全部効率利用要件

  取得しようとする農地を含め、所有又は賃借している

  農地すべてを効率的に耕作していること。

  →従って、取得する農地の一部しか耕作予定がない場合

    や、一部を賃貸する予定の場合は認められません。

 

農作業常時従事要件

  農地を取得しようとする者又は世帯員が、取得後において耕作

  を行うのに必要な農作業に常時従事していると認められること。

  →常時とは、年間150日以上農作業に従事することが求められます。

 

下限面積要件

  取得後の農地の合計面積が50a(5000㎡)以上(北海道の場合は

  2ha以上)あること

  →自治体によっては上記面積が緩和されている場合があります。

    例えば、天理市の場合には20a(2000㎡)以上に緩和されています。

    従って、取得しようとする自治体に事前に確認する必要があります。

 

地域との調和要件

   取得予定農地の周辺の農地の利用に影響を与えないこと

農業生産法人要件

   取得者が、法人の場合は別途要件があります

農地の売買・贈与と仮登記

農地を売買・贈与した場合に、所有権移転登記をするためには

農地法上の許可が下りないとできませんが、仮登記は許可前に

当事者の合意のみで申請することができます。この仮登記は

仮登記より後になされた登記に優先権が主張できます。例えば

 

〇許可が下りる前に対象不動産に差押登記がされた場合

〇許可が下りる前に対象不動産を二重売買で他人の名義になった場合

 

等の不利益を被る事を仮登記をすることによって防ぐことができる

のです。売買契約を結んでから、許可が下りるまでに時間がか

かる場合は、仮登記をすることを検討されるといいでしょう。

相談・依頼に必要な書類とは?

農地の売買・贈与に関する3条許可取得のご相談をご希望の方は、最低限対象となる農地の所在
・地番がはっきりとわかる資料をご持参ください。

    (所在・地番がはっきりわかる資料)
  〇固定資産税課税明細書
  〇固定資産評価証明書
  〇権利証  
      ・・・・等々

なお、対象農地の地番がはっきりとわからない場合は、下記の書類を取得されることをおすす
めします。

  〇地番参考図

 

また、農地の売買・贈与(3条許可)をお考えの方は、下限面積(現在保有・賃借している農地の面積
+取得する農地の面積)にご注意ください。2023年7月現在、天理市の下限面積は2000㎡となっています。

3条許可と登記手続きの流れ

相談・事前調査

    〇売買(贈与)対象不動産の調査

      →不動産謄本で登記内容の確認、地番参考図・住宅地図

        等で場所の確定をします。

    〇農業委員会への事前相談

      →農業委員会へ3条許可が下りるかどうかの事前相談を

       行います。(注)農業委員会によっては事前相談では回答

       してくれない場合もあります。

    〇売買(贈与)契約の内容の打ち合わせ

      →売買価格の決定や、仮登記をするのか等の条件を決定します。

売買(贈与)契約の締結・3条許可申請の準備

    〇売買(贈与)契約を締結します。

      →3条許可が下りなかった場合に備えて次のような条項を

       入れるのが一般的です

      (例) 第〇条 令和〇〇年〇〇月〇〇日までに、本件売買契約につき

               農地法第3条第1項の許可が下りないときは、買主及び売

               主は、本契約を解除できる。

             2 前項の規定に基づき解除された場合は、売主は手付金を無

               利息で買主に返還しなければならない。

    〇3条許可申請の準備

      →住所変更登記や相続登記等の登記未了の場合は、農業委員会によっては

        申請前に、事前に完了させるように求められる場合があります。

3条許可申請→許可

   〇3条許可申請をし、許可を得ます。

      →各農業委員会によって違いますが、申請してから、許可が下りるまで

        標準的には約1か月かかります。

許可書の取得後登記申請

   〇3条許可が下りると、許可書が交付され、その後登記申請をします。

      →売買の場合は、売主が権利証や印鑑証明書等の登記に必要な書類

      を買主又は司法書士に渡すのと引き換えに、買主が売買代金を支払い

      ます。

登記手続き完了

〇登記申請後、平均して約1週間から10日ほどで登記手続きが終了します。

      →完了書類を受け取ったら、一連の手続きは終了です。

3条許可申請には締切日があります。

農地法の3条許可申請は、申請した日によって、許可がおりてくるのが

翌月の場合と翌々月の場合にわかれます。これは各市町村が各月の3条

許可申請の締切日を設定しているからです。天理市の場合、3条許可申請

の締切日は毎月20日(2019年3月現在)となっています。

例えば、3月20日に申請書を提出すれば、3月分として処理され4月

に許可が下りますが、3月21日に申請書を提出すれば、原則として

4月分として処理され、5月に許可が下りることになります。また締切日

が閉庁日(土日祝日)の場合の取り扱いも各自治体によって取り扱い

が異なります。多くの自治体は、締切日が閉庁日の場合、締切日後最初

の開庁日(平日)が締切日とするという扱いになっていますが、まれに

締切日前の最後の開庁日を締切日とするという自治体もありますので、

注意が必要です。ちなみに天理市は、締切日が閉庁日の場合、締切日

後最初の開庁日を締切日とするという取り扱いを採用しています。

いずれにせよ、農地の売買・贈与を迅速に行いたいときは、締切日に

間に合うように許可申請をしなければなりませんので、ご注意ください。

当事務所のサービス・報酬

当事務所は、司法書士と行政書士を兼務しておりますので、

3条許可申請から、登記申請まで全部行えます。3条許可申請は

行政書士事務所に、登記は司法書士事務所に個別に依頼する必要

はありません。また3条許可申請だけの依頼や、登記だけの依頼

も当然受け付けておりますのでできるところはご自身でされて

費用も節約できます。
 

 

        ①3条許可申請 報酬の目安

             金6万円(税別)

        ②申請書の添削等のみの場合

             金1万円(税別)
 

    (注)上記以外に実費が必要です。

    (注)当事務所では、3条許可申請にあたって農家組合・水利組合等様
       からの押印取付も行っていますが、事前に譲受人様から協議をし
       ていただくことを推奨しております

    (例)全ておまかせの場合(3条許可申請+売買契約書作成+登記申請)

       3条許可 報酬 金6万円(税別)

       契約書作成 報酬 1通 金1万円(税別)

          (注)売主様と折半される場合の報酬です。買主様が売り主様の

             分も負担される場合は2通分金2万円(税別)となります。

          登記申請  報酬 金3万9000円(税別)

          合計 金10万9000円(税別)

 

 

 

 

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